きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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今週の小倉メイン小倉記念に懐かしい顔が混じっています。去年の9月以来ですから、およそ11ヶ月ぶりになるんですね。ホクトスルタン、芦毛も進んで真っ白になりました。

ご承知のようにメジロアサマ、メジロティターン、そしてメジロマックイーンと父系3代の天皇賞ファミリーの末裔です。4代制覇へわずかながら可能性を残すのはこの馬だけになりました。故障がちで数を使っていないとはいえ、もう7歳です。来春の天皇賞は8歳馬として挑むことになります。

この馬が4代制覇にもっとも近づいたのは4歳春、3年前でした。小気味よいピッチ走法でハナを奪うと、菊花賞馬アサクサキングス、天皇賞3連覇を狙う古豪メイショウサムソンを引き連れて、横山典弘騎手を背に白い風となって逃げまくります。

1600万条件を勝ったばかりの格下とは思えない勢いがあります。よほど調子が良かったんでしょうね。直線に入ってもバタリと止まってしまうようなことはなく、粘りに粘り、一瞬だけですが大きな夢を見させてくれました。脚色が衰えた最後の1ハロンでアドマイヤジュピタがグイと伸び、先行3頭を交わしたところが3200mのゴールでした。結局4着でしたが、いつか大願成就と思わせる内容でした。

しかしそこからが茨の道、脚部不安との戦いの連続でした。誰もが忘れかけた今になって復帰できたのは嬉しいですね。アサマ、ティターン、マックイーン、スルタンと芦毛一族です。この毛色の伝承はアサマの母スヰートにさかのぼります。現代に至る名門の祖ラトロワンヌを曽祖母に持つ彼女は、ザテトラークを祖とする父系から芦毛を受け継ぎました。この快速馬はナスルーラの母となるムムタズマハルを出し、10戦10勝のダービー馬トキノミノルに3×4のクロスを与えています。

ホクトスルタンの芦毛と快速ぶりは半世紀以上もたった今でも“生ける伝説”として息づいていると思うと感無量ですね。でも、わずかでも残った夢を追うには賞金加算が必要です。小倉記念がその第1歩になれば嬉しいのですが、来春まで焦らずたゆまず地道に賞金を稼ぎましょうか。

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