きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠)  阪神ジュベナイルフィリーズ

先週は、うら若き少女たちが2歳牝馬の頂点を決めるために競う、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)が行われました。優勝馬はGI馬という称号と共に、来年のクラシックホースの最有力馬として、世代を牽引する存在となります。覆面歌人の京雅さんからは、この阪神ジュベナイルフィリーズの和歌が届きました。和歌(沓冠)に隠れたメッセージを読み解き、お楽しみください。

阪神ジュベナイルフィリーズ 京雅

駆け廻り
レディ競えば
いま伸びて
差して豪快
しかと勝ったよ

隠れたメッセージは「かれいさし りばていよ → 華麗差し リバティよ」です。
駆()け廻り(
レ()ディ競えば(
い()ま伸びて(
差()して豪快(
し()かと勝ったよ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
フルゲート18頭が揃った阪神ジュベナイルフィリーズ。1番人気に支持されたのは、前走アルテミスステークス2着から、GIへの歩みを進めてきたリバティアイランド。
レースでは長くなる隊列の中程で折り合い脚を溜めると、3コーナーでは早くも外に持ち出しスムーズな競馬で進路を確保し、駆け廻ります。
直線では、しっかりと追い出しを見極め、今だ!というGOサインに応えて、一頭ギアが上がった豪快な末脚を披露。後続はなかなかリバティアイランドとの差を縮められず、2着シンリョクカとは2馬身半差で、2歳牝馬の頂に登り詰めました。
「華麗差し リバティよ」仁川を鮮やかに駆け抜けた少女は、来春、同じ舞台で行われる牝馬クラシック1戦目の桜花賞(GI)でも輝くことはできるのでしょうか?少女の今後の成長にも期待しましょう。

ところ変わって阪神ジュベナイルフィリーズが行われた日と同じ日曜日、香港では香港国際競走デーが行われ、香港ヴァーズ、スプリント、マイル、カップの4つのGIが行われ多くの日本馬が参戦しました。香港ヴァーズでは、GIエリザベス女王杯2着の惜敗から臨んだウインマリリンが、異国の地で初のGI制覇を成し遂げました。
日本、香港の双方で、牝馬の活躍が目立った一日となりました。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。一昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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