きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

女王の贈り物

10月14日は、西田 雄一郎 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
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エリザベス女王が崩御されて1カ月を過ぎたところですが、今週は女王ゆかりのレースが本拠地アスコットとアメリカのキーンランドで行われます。女王の名を戴いたレースは世界各地に広がっています。70年前に即位なさったのを機に、オーストラリアのロイヤルランドウィック競馬場で「クイーンエリザベスS」が創設されたのを最初に、翌年は母国アスコットで「クイーンエリザベス2世S」が。75年に女王はアジア各地を歴訪されましたが、香港ではハッピーバレー競馬場への来臨記念として「クイーンエリザベス2世カップ」が創設され、1年おいて日本では「エリザベス女王杯」がスタートします。古都・京都競馬場を舞台にしたロケーションが素敵でした。遅めの発足となったのが、アメリカ・キーンランド競馬場の「クイーンエリザベスチャレンジカップS」でした。どのレースも現在ではG1に格付けされ、それぞれの国々の競馬の繁栄を支える看板レースとして、たくさんのファンから熱心な支持を集めています。

競馬の母国イギリスの1年の総決算として今週開催されるチャンピオンズデーの人気番組「クイーンエリザベス2世S」は、近代競馬の原点とも言える基幹距離として大切にされているマイルの最高峰レースです。今年は女王陛下に哀悼を捧げたわけではないでしょうが、牝馬のインスパイラルが圧倒的な人気に支持されているようです。亡くなった父の絶対王者ガリレオの正統後継フランケルの血で、7戦6勝と素晴らしい充実ぶりを示しています。今季は始動が遅れてクラシックシーズンを全休しましたが、ロイヤルアスコットのコロネーションCで戦列復帰を果たし、フランス遠征のジャックルマロワ賞ではG1ホースが居並ぶ男馬連中を手玉にとっています。強敵はモダンゲームズでしょうか。夏のマイル決戦サセックスSで、怪物バーイードの2着に食い下がった実力派です。2歳時のBCジュベナイルターフ、前走のウッドバインマイルと北米の軽い馬場で強みを発揮してきた馬で、良馬場なら逆転まで望めそうです。

エリザベス女王はアメリカをしばしば訪れ、ケンタッキーダービーの日にはチャーチルダウンズ競馬場に来臨しています。その際、当時はA.P.インディなどを繋養していた大牧場レーズンエンドファームのゲストハウスにお泊まりになっています。日本で言えば、セレクトセールなどで有名なノーザンホースパークに宿を取り、門別とか札幌の競馬場に足を伸ばすみたいな感じでしょうか。根っからの競馬好きだったのですね。今週のキーンランドの「クイーンエリザベス2世チャレンジカップS」は3歳牝馬限定の芝レースで、ここから芝が舞台の牝馬最高峰「BCフィリー&メアターフ」に“チャレンジ”しようという趣向ですね。昨年の日本馬ラヴズオンリーユーに続いて金星を狙っているのは、芝の牝馬三冠“トリプルティアラ”で二冠を制覇してきたマックリックでしょうか?今年はBCがキーンランドで開催されますから、本番前の一叩きには絶好の舞台ですね。この仔も前出インスパイラル同様にフランケル産駒です。この今世紀最大の怪物の血は、国を問わず世界の競馬を制圧してしまうのでしょうか。

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