きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠)  スプリンターズステークス

10月6日は、池上 昌和 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週より遂に開幕した秋のGI。中山競馬場では、スプリント王決定戦・スプリンターズステークスが行われました。覆面歌人の京雅さんからは、このスプリングステークスの和歌が届きました。和歌(沓冠)に隠れたメッセージを読み解き、お楽しみください。

スプリンターズステークス 京雅

目指してた
いい枠強い
ほら見たか
馬は万全
伸び快勝だ

隠れたメッセージは「めいほうの たいかんだ → 名峰の 戴冠だ」です。
目()指してた(
い()い枠強い(
ほ()ら見たか(
馬()は万全(
伸()び快勝だ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
秋のスプリント王を目指して16頭が中山競馬場に集結。前哨戦を華麗に快勝したメイケイエール、NHKマイルカップ覇者のシュネルマイスター、3歳快速娘ナムラクレア、春のスプリントチャンピオンのナランフレグ、名だたる馬たちを抑えて勝利を手にしたのは7歳馬・ジャンダルムでした。
後に勝利騎手の荻野極騎手が「非常にいい枠」と語っていた1枠2番の絶好枠から飛び出したジャンダルムは3番手インコースの好ポジション。4コーナーで外を回すこともできましたが、ロスなく内を選び、「ほら見たか」とばかりに、直線入り口でしっかり逃げ馬の横に付けると、そこから気持ちの良い伸び脚を見せて迫るウインマーベルをクビ差抑えたところがゴールでした。
ジャンダルムとは、アルプスの名峰「アイガー」の絶壁、という意味。名峰が7歳にして、待ち焦がれていたGIタイトルを手にしました。

”絶壁”という意味では、日本馬にとって大きな壁として今年も立ちはだかったのが凱旋門賞でしょうか。日本馬悲願の制覇を目指して今年は4頭が出走しました。レースは大雨が降りしきる重い馬場で行われました。パリ・ロンシャン競馬場の馬場は平時でも日本とは比べ物にならない程、重く起伏の激しいタフなコース。そこに大雨が降り注ぎ、日本馬にとっては過酷な条件となりました。大将格として参戦したタイトルホルダーが日本での走りそのままに逃げて見せ場を作りましたが、最後の直線のオープンストレッチに入ったところで勝ったアルピニスタに持ったまま並びかけられ力尽きました。
日ごろからタフな競馬で慣れている欧州馬が掲示板を独占し、日本馬はタイトルホルダーの11着が最先着でした。
今年の悲願達成はお預けとなりましたが、日本馬の飽くなき挑戦は来年以降も続くことでしょう。

凱旋門賞 京雅

あ(あ)あ立派(ぱ)
強(つ)き馬あり(り)
感(か)動の(の)
尽(っ)きた力か(か)
高(た)きその壁(べ)



※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。一昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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