きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

クライマックス間近!

ようこそいらっしゃいませ。

エリザベス女王が亡くなりました。世界中の競馬好きにとっては、かけがえのない“心の支え”を失いました。競馬はジグソーパズルのピースのように、さまざまな要素から成り立っています。推理の奥深さを含めた馬券の醍醐味もそうですし、スポーツとしての興奮や感動がどれだけの人々を奮い立たせることか。さらに歴史や伝統を重んじる人間としての謙虚さや気品の尊さやホースマンとしての誇り、そうしたピースの一つ一つを女王は体現していたのだと思います。少し観念的で分かりずらいことも、女王という一個の人間を通して見るとスッと腑に落ちます。それが“心の支え”としてホースマンを勇気づけてきました。競馬界最高最大のブランド価値に燦然と輝くロイヤルアスコット開催のオーナーとして競馬の価値向上に貢献され、馬主であり生産者でもあるオーナーブリーダーとしても傑出した事績を後世にまで伝えています。中でも愛馬ハイクレアは英1000ギニーと仏オークスで女王陛下にクラシックオーナーの名誉をプレゼントし、繁殖牝馬としても曾孫世代に“東洋の帝王”ディープインパクトを輩出するなど、世界の競馬シーンに大きな影響を広め続けています。長い間、お疲れさまでした。ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

ヨーロッパ競馬は、いよいよ最終コーナーを回って最後の直線勝負を迎えています。季節の移り変わりの早いアイルランドは、今週末はレパーズタウンとカラの二大競馬場を舞台にシーズン総決算「チャンピオンズデー」に突入します。イギリスの今週はクラシック三冠の最終関門「セントレジャー」。来週からは来年を占う2歳の最強馬決定シリーズ、次いで「チャンピオンズデー」と興味深いプログラムが並びます。フランスの今週は、ヴェルメイユ賞、ニエル賞、フォア賞の豪華3本立て!ご存じのように凱旋門賞と同コース同距離で行われるラスト・トライアルです。

日本人ファンの期待を集めているのがニエル賞に主戦武豊騎手で出走するドウデュースでしょう。実績的には日本ダービー馬であるドウデュースが抜けている感じです。ちょっとアナっぽいところでは、名門エイダン・オブライエン厩舎のアイハルは「我々はダービーに連れて行く馬を間違ったかもしれない」と名手ライアン・ムーアにホゾを噛ませたアイハルが不気味です。前走の負けっぷりから距離が微妙なのかもしれませんが、一発があっても驚けません。地元馬ラストロノームは、ノーザンファーム生まれで日本産初の欧州G1馬シーヴァの孫という血統がまぶしいですね。クレバーな操縦性の良さが勝負強さを生み出しているようです。日本繋がりということで注目します。

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