きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

悲運を跳ね返せ!

7月22日は、中舘 英二 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

先週は、愛オークスの大本命に推されたエミリーアップジョンが、英オークスで痛恨の出遅れから直線の猛襲で突き抜けたかと思われながら宿敵チューズデーの二の脚に差し返され涙を飲んだ無念を晴らすべくアイルランドに向かったのですが、輸送の飛行機が欠航のアクシデントで空港で足止め、ここでも無念にも直前リタイアとなりました。衝突した鳥をエンジンに巻き込むバードストライクが原因だったそうです。空を飛ぶ同士の鳥と飛行機にはつきものの事故のようで、極端な場合には不時着など緊急事態を招くこともあるそうです。ニューヨークでハドソン川に旅客機が不時着した事件がありましたが、安全を考えれば欠航もやむを得ません。

しかしエミリーアップジョンとジョン・ゴスデン調教師の闘志は萎えることなく、すぐ目標を今週のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに切り替えました。去就をめぐってゴタゴタしたランフランコ・デットーリ騎手もそのまま騎乗します。今年のキングジョージは昨年のダービー馬アダイヤーが早くから大目標に掲げて来ましたが、体調が整わず出走に至らず、今年のダービーを4戦4勝と不敗のままで制覇したデザートクラウンも直前に軽い脚部不安を発症して自重するなど有力馬が次々と脱落して、最終的に6頭立ての少頭数になりました。しかしエミリーの思いがけない緊急参戦でグッと盛り上がり気分を取り戻したようです。

強敵は同じ3歳のウェストオーバーでしょうか。この馬もダービーの直線で四方を馬群に取り囲まれ、身動きのできない状態に陥る絶体絶命の不利に泣いた悲運の馬です。しかし一瞬の隙を衝いて進路を見つけ出すと、凄まじい末脚を繰り出して、先に抜け出した勝ち馬デザートクラウン、2着のホーヤマルに追いすがりスタンドを騒然とさせました。とんでもない鬼脚でした。そして復活を誓った愛ダービーを楽勝して、ポテンシャルの高さが本物であることを自ら実証しています。今回は少頭数と言っても、芝ダートを問わず高額賞金G1をゲットする二刀流賞金稼ぎミシュリフ、昨年の凱旋門賞馬トルカータータッソ、日本人が共同馬主のブルームなど力のあるメンバーが揃っています。勝つのは簡単ではありませんが、古馬が60.5キロを背負うのに対して、この時期の3歳馬は牡馬のウェストが5キロ貰いの55.5キロ、牝馬のエミリーは1.5キロ減で55キロの恵量です。ここで弾みをつけて凱旋門賞に望みを膨らませるのか、見逃せない一番です。

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