きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

凱旋門賞の予想の仕方

7月1日は、植野 貴也 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

JRAの前半戦を締めくくるグランプリ・宝塚記念が終わった途端、梅雨明け宣言が列島を縦断して、アッという間に季節が入れ替わりました。これで北半球の競馬はおおむね折り返しに差しかかり、格段に熾烈さを増す後半戦に突入します。大ざっぱに言えば、前半が華やかなクラシックを中心とする世代間の戦いだとすれば、後半は世代に関係なく最強を競い合うチャンピオンシップがテーマとなります。従ってG1レースの出走資格も「4歳以上」の世代指定が「3歳以上」となり、3歳と古馬で負担重量差を少しづつ縮めながら、最終決戦へと向かう仕組みになっています。

競馬発祥の地イギリスをお手本とすれば、距離によって条件は異なるのですが“王道”とされる中距離カテゴリーで見ていくと、その第1弾が今週末にサンダウン競馬場で開催されるエクリプスS。古馬61㌔に対して3歳56.5㌔、その差4.5㌔でスタートを切ります。この負担重量は、3歳馬の成長度に合わせてほぼ1ヶ月ごとに微調整されます。8月のヨーク競馬場のインターナショナルSは61㌔対57.5㌔と差が1㌔縮まります。9月の愛チャンピオンSは61㌔対58.5㌔とさらに縮められ、フランスの凱旋門賞を挟んで頂上決戦とされる10月アスコットの英チャンピオンSは59.5㌔対57.5㌔の2㌔差で雌雄を決します。ちなみに凱旋門賞は、距離が2ハロン長い分だけ古馬の経験や鍛え上げた頑健さが上積みされて、59.5㌔対56.5㌔(牝馬1.5㌔減)の戦いとなっています。今週のエクリプスSを皮切りとする一戦一戦に、深い意味や重い価値があり、見過ごすことのできないステップレースとして積み重ねられていきます。

さて、話は宝塚記念に戻ります。凱旋門賞に登録済みのタイトルホルダーのレーティングが124ポンドと発表されました。思っていたより高い評価でした。先月のロイヤルアスコットのクイーンアンSを馬なりで圧勝したバーイードに対して、BHA(英国競馬統括機構)は128ポンドと激賞しています。これに比べるとタイトルホルダーが見劣るようにも感じられますがバーイードが飛び抜けて傑出しているというのが真相で、124ポンドはオーストラリアの年度代表馬で凱旋門賞を目指してフランスに転厩したネイチャーストリップなどと並んで世界2位タイであり、バーイードは十中八九は凱旋門賞に出てこないでしょうから、むしろ威張れる評価にも思えます。英ダービー圧勝のデザートクラウン、同じく仏ダービーをちぎったヴァデニ、愛ダービーを一人舞台にしたウェストオーヴァー、日本ダービー馬ドウデュースなどフレッシュな3歳馬たちが強敵になるのでしょうか?そうした意味合いでも、擬妙に負担重量が変化するステップレースでの競馬ぶりが、いつも以上に興味深いものに思われてなりません。

×