きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) NHKマイルカップ

先週より始まった東京競馬場5週連続GⅠ開催。その開幕を飾ったNHKマイルカップは3歳のスピード王決定戦。見事、今年のスピード王に輝いたのは当協会所属(株)ダノックス様のダノンスコーピオンでした。覆面歌人の京雅さんからは、このNHKマイルカップの和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

NHKマイルカップ 京雅

待って行こ
いざ攻めろそこ
累代に
追ってハナさあ
馬は押し切り

隠れたメッセージは「まいるおう ここにあり → マイル王 ここにあり」です。
待()って行こ(
い()ざ攻めろそこ(
累()代に(
追()ってハナさあ(
馬()は押し切り(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
今年のNHKマイルカップは、スタートでレースを引っ張ると思われたジャングロが後手を踏み、各馬・各騎手の思惑が外れた状態でレースは進行。1番人気のセリフォスがかかり気味の中、ダノンスコーピオンは大外枠からのスタートをうまく決め、好位の後ろ、中段外目で抜群の折り合いを見せます。
直線、逃げ粘るトウシンマカオを手応え抜群で追い上げるダノンスコーピオン。川田将雅騎手からのGOサインが出ると、名前の通りサソリ(ダノンスコーピオンは冠名+サソリの意味)のような鋭い脚でトウシンマカオを捉えて、更に加速。大外から直線一気の戦法にでたマテンロウオリオンが猛追しますが、ダノンスコーピオンももう一踏ん張り。クビ差凌いで、マイル王の座を射止めました。3着には18番人気のカワキタレブリーが入着。ダノンスコーピオンとマテンロウオリオンの素晴らしい末脚勝負に加えて、馬券でも一波乱あった見どころ溢れる今年のNHKマイルカップでした。

昨年暮れの朝日杯フューチュリティステークス(GI)では3着と戴冠まで後一歩に迫っていたダノンスコーピオン。その後、共同通信杯(GIII)では、万全とはほぼ遠い状態で7着と大敗した状況から陣営は立て直し専念。距離もマイルに狙いを定め、アーリントンカップ(GIII)、NHKマイルカップと見事、巻き返しての優勝となりました。
オーナーの(株)ダノックス様は2010年ダノンシャンティで制して以来、2度目のNHKマイルカップ制覇。そのダノンシャンティとNHKマイルカップを優勝した元騎手の安藤勝己さんは、ダノンスコーピオンについて「中2週でもグンと上向いてた。それでも、これだけ走れるのが不思議なくらいの馬体でまだまだ奥がある。」と今後の更なる成長にも期待していました。また安田隆行調教師と川田将雅騎手の師弟コンビが(株)ダノックス様のご愛馬でGIを取るのはこれが3度目(過去2回は、2020年ホープフルステークス・ダノンザキッド、2021年高松宮記念・ダノンスマッシュ)。「累代」=代を重ねながら着実に勝利を積み重ね、ダノンスコーピオンの勝利に結び付きました。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。一昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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