きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

大波乱の予兆?

5月13日は、小崎綾也 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

先週末のケンタッキーダービーは、フルゲート20頭中21番目の馬だったリッチストライクが、直線に向いてイン強襲から力強く伸び切って誰もが唖然呆然とさせられる大波乱の結末となりました。父キーンアイスも“真夏のダービー”G1トラヴァーズSで、無敵を誇っていた三冠馬アメリカンファラオを倒して、ファンをアッと驚かせたジャイアントキラー(大物喰い)として名を売りました。その父キーンアイスから近年屈指の名馬カーリンを経てスマートストライクに遡る血統で、母ゴールドストライクの父も同じスマートストライクですから、3X2という濃いインブリードを抱えています。このスマートは、大種牡馬ミスタープロスペクターから22戦21勝の“芦毛の怪物”ネイティヴダンサーへと至る一族です。生涯たった一度の敗戦がケンタッキーダービーの2着で、マッチレースの末にクビだけ競り勝って大波乱の立役者となったのがダークスター(穴馬の星)という名の馬でした。70年近い大昔の話ですが、その不思議な巡り合わせの血は、リッチストライクにまで脈々と伝えられていたようです。

“世紀の大波乱”の激震は、どうやら世界のあちこちに飛び火しているようで、日本のG1NHKマイルCでは18頭中18番人気のカワキタレブリーが渾身の激走で3着に突っ込み、三連単・三連複で大穴を開けました。競馬の母国イギリスでもダービー&オークスへ向けて、各地で毎日のようにトライアルが展開されていますが、日替わりでヒーロー&ヒロインが出現してファンを戸惑わせています。当初は2000ギニーでワントゥーフィニッシュしたコロイバスとネイティヴトレイルのゴドルフィン勢が有力視されていたのですが、距離不安からともに回避。逆に距離延びてスタミナが生きるクールモアのルクセンブルクが注目されましたが、脚部不安でリタイア。エリザベス女王の愛馬リーチフォーザムーンも、今年は女王即位70周年の“プラチナ”メモリアルもあって応援ムードが広がっていましたが、これも仕上がり不足でダービーを断念と“波乱の予兆”が不気味に忍び寄って来ました。

リステッドレースを中心に各地で繰り広げらたトライアルシリーズは、直線1000mと紛れのないフェアなコースで有名なヨーク競馬場を舞台とするダンテフェスティバルでオオトリを迎えました。ここに至って波乱ムードを吹き飛ばすような新星が出現したのは驚かされました。さすがに競馬発祥の地らしい底力は並み大抵ではありません。昨年はディープインパクト産駒のスノーフォールが華々しく出現してオークス16馬身圧勝劇へ繋げたG3ムシドラSは、まだ2戦2勝とキャリアの浅いエミリーアップジョンが5馬身半ちぎって快勝しました。鞍上のデットーリ騎手は「エネイブルとうり二つ!同じ競馬場で同じような勝ち方をした!」と大喜びです。女帝エネイブルと同じということは、このシーザスターズ産駒はオークスも凱旋門賞も勝つよ!ということなんでしょうね。一方、ダービー路線の王道トライアルはG2ダンテS。こちらもキャリア1戦と未知の魅力と不安が交錯するデザートクラウンというナサニエル産駒が長い直線を伸び伸び走り、悠々と抜け出してダービー候補筆頭に駆け上がりました。どこまで強くなるのか、今年のクラシック戦線も楽しみが一杯です。

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