きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

新風物詩の誕生

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来週末に迫ったサウジカップデーは、世界中の人々の度肝を抜き目の玉が飛び出るような“お騒がせな”超高額賞金レースにとどまらず、今や年納めのアメリカ・ブリーダーズカップ(BC)と春本番を告げるドバイワールドカップの二大カーニバルを繋ぐ夢の架け橋として、世界中のホースマンがスケジュール帳にしっかりと書き込む定番イベントになっています。確かな存在感を年々深めており、世界のレーシングカレンダーに新たな風物詩を書き加えたと言って良いでしょう。

今年から晴れて国際G1の仲間入りを果たしたサウジCは、主催国サウジアラビアは無論、競馬発祥の地イギリス、その宿敵フランス、南北を縦断する競馬大陸からは北米アメリカ、南米ウルグアイと強豪国が揃って駿馬を送り込み、21世紀の新勢力を代表する日本からもフレッシュな顔ぶれが並びます。急激に力をつけて一枚二枚抜けた存在にのし上がったテーオーケインズ、ダート星座の頂上に輝くBCシリーズで女王のティアラを戴冠したマルシュロレーヌは、日本人ファンならずとも採れたての果実のようなフレッシュな魅力にあふれています。相手も相当に強くて勝ち負けは時の運としても、見せ場はつくってくれないでしょうか。

同日に施行されるアンダーカードの数々も質の高い出走馬がクツワを並べてエントリーしています。G3クラスでも1着賞金が1億円オーバーという経済価値も大きな魅力でしょうが、強い馬が揃うことで国際的な格付けが上がっているグレード価値の上昇も相まって、野心的なホースマンたちのチャレンジ精神を掻き立てるのでしょう。たとえばG3ネオムターフカップには日本からオーソリティが参戦します。昨秋のジャパンCで三冠馬コントレイルの2着に踏ん張った東京コースの鬼で、今季はチャンピオンディスタンスの王座奪取が有力視される大物です。こういう今が盛りの花も実もあるヴィンテージホースが、わざわざ海を渡るだけの大きな価値がサウジアラビアには埋蔵されていると考えられているのでしょう。

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