きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) ジャパンカップ

先週は東京競馬場でジャパンカップが行われました。昨年、無敗の三冠を獲得し、このレースで引退となるコントレイルに、今年のダービー馬シャフリヤールが挑む構図となりました。覆面歌人の京雅さんからはこのジャパンカップの和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてお楽しみください。(メッセージの答えは最後に)

ジャパンカップ 京雅

なんとほら
見事感謝す
ダッシュ外
群馬抜きほら
無敗三冠

隠れたメッセージは「なみだぐむ らすとらん → 涙ぐむ ラストラン」です。
な()んとほら(
見()事感謝す(
ダ()ッシュ外(
群()馬抜きほら(
無()敗三冠(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
無敗で三冠を獲得したコントレイルが苦しんだ4歳シーズン。しかし、自身の最終戦となるジャパンカップは素晴らしい走りで旅路の最後を白星で飾りました。
18頭立てのちょうど中団で折り合ったコントレイルと福永祐一騎手のコンビ。4コーナーで徐々に外に出し、直線では前が開けた絶好のポジション。馬群を置き去りにし、先に抜けたオーソリティを追いかけ、あっという間に先頭へ無敗で三冠を獲得したコントレイルが、馬名の由来である飛行機雲をターフに描くように、鮮やかな末脚一閃、ラストランを華麗に駆け抜けました。
鞍上の福永祐一騎手はレース後のコメントで「今までの(デビューからの)2年2カ月は夢のような時間でした。今までのジョッキー人生のすべてをあの馬(コントレイル)に注ぎ込み、それに応えてくれましたし、素晴らしい馬と巡り合えました。感謝しかないです」と話していました。
ウイニングランでスタンドの方に戻る福永祐一騎手は涙ぐんでいる様子。決して順風満帆とはならなかった今年のコントレイル。しかし、最終戦はしっかり結果を残してエスコート。そんな安堵の涙だったのかもしれません。

引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入りするコントレイル。そんなコントレイルの初の種付けシーズンとなる2022年の種付け価格が発表され、父ディープインパクトの初年度と同じ1200万円となりました。この価格設定からもディープインパクトの後継種牡馬としての期待の大きさが伺えます。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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