きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

因縁のジャパンカップ

11月26日は、浅野 洋一郎 調教師、中竹 和也 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

今年のジャパンカップは、ファンの気持ちを高揚させる話題が盛りだくさん、東京競馬場は久しぶりに熱気と歓声に包まれそうです。第41回目と名馬たちが紡いだ名勝負の歴史を積み重ねたジャパンカップですが、4世代のダービー馬が一堂に揃い踏みの豪華版は記憶にありません。しかも4頭すべてがディープインパクト産駒というのも凄すぎます。そのディープインパクトが、凱旋門賞3着失格という屈辱を見事に晴らしたのは15年前の2006年のジャパンカップでのことでした。今回はそのときのユカリの血統が、はるばるアイルランドから駆けつけます。ユカリの血は、第19代ダービー卿のオーナーブリーダー馬ウィジャボードに遡ります。

ウィジャボードは今世紀が幕を開けた2001年に第19代ダービー卿のオーナーブリーダー馬として生まれ、エド・ダンロップ調教師に預けられると、早くから素質の片鱗をきらめかせ、3歳時にはイギリスとアイルランドのオークスを連覇、凱旋門賞はバゴの3着と強(したた)かな底力を発揮するとアメリカ遠征のBCフィリー&メアターフを楽勝して、年度代表馬に選ばれヨーロッパチャンピオンに君臨します。4歳時の翌年も香港ヴァーズを勝ちますが、さらに華々しかったのは2度目の年度代表馬に輝いた5歳時でした。ドバイ、香港と叩かれるたびに調子を上げてG1戦線を威風堂々と進撃、BCフィリー&メアターフも制し、ランフランコ・デットーリ騎手とともにディープインパクトが待つ東京競馬場へ乗り込みます。結果はディープが本来の力を全開してロンシャンの無念を鮮やかに晴らし、ウィジャボードは3着でしたが高い能力の一端は存分に見せてくれました。

そのウィジャボードが繁殖に上がり、ガリレオとの間にオーストラリアと命名される牡馬を授かります。牧場が手狭なこともあって、牝馬は手元に置くが牡馬は売却するダービー卿の方針に従ってオーストラリアはクールモアに落札され、英愛ダービー連覇の名馬に育ちます。その名馬が送り出した初年度産駒にブルームの名がありました。彼は英ダービーで僅差の4着に健闘すると、故障が癒えた5歳の今季は使い出しから3連勝と素質を開花させ、サンクルー 大賞でG1初勝利、先日のBCターフでも大金星寸前の2着と波に乗っています。僚馬ジャパンとともに日本の松島正昭さんが共同オーナーとなり、今回は第2の故郷に錦を飾る晴れ舞台。武豊騎手のジャパンとともにライアン・ムーア騎手のブルームが大仕事を見せてくれないでしょうか!

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