きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 天皇賞(秋)

11月4日は、佐藤 吉勝 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週は天皇賞(秋)が行われました。最終オッズが示す通り、三冠馬コントレイル、短距離女王グランアレグリア、3歳の若獅子エフフォーリアの3強対決に。結果は、初の古馬との対戦をものともせずエフフォーリアが楯の栄冠に輝きました。覆面歌人の京雅さんからはこの天皇賞(秋)の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてお楽しみください。(メッセージの答えは最後に)

天皇賞(秋) 京雅

力得た
頑張りぬいて
強さ乗せ
無敵三歳
群馬を撃破

隠れたメッセージは「ちがつむぐ たてせいは → 血が紡ぐ 楯制覇」です。
力()得た(
頑()張りぬいて(
強()さ乗せ(
無()敵三歳(
群()馬を撃破(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
3頭が100%の力をぶつけ合う直線の様子に東京競馬場に訪れたファン、そしてテレビの前で声援を送っていたファンも心を打たれたことでしょう。
第164回天皇賞(秋)は3強馬による直線のデッドヒート。戦前の予想とは裏腹に、3頭で最も前に位置付けたグランアレグリア。それを見る形で続くエフフォーリア。2頭を見ながらのレース運びとなったコントレイル。思惑はそれぞれ異なりますが、3頭が揃って先頭争いへ。距離の壁か、グランアレグリアの脚が鈍るところ、エフフォーリアが“頑張りぬいて”先頭に。コントレイルは後方から追い込むもエフフォーリアの脚色を上回ることはできず、エフフォーリアが19年ぶりの3歳での天皇楯を手にしました。
「春と比べて大きくなった」と管理する鹿戸雄一調教師が語るように、力を得て夏の休養から帰厩。日本ダービーで共に悔しさを味わった鞍上の横山武史騎手は、前週に菊花賞(GI)を制するなど力を付け、エフフォーリアの背中には更なる強さ(力を付けた騎手)が乗りました。グランアレグリア、コントレイルといった古馬たち(群馬)を撃破し、三歳馬のレベルの高さを証明する走りでした。

「血が紡ぐ 楯制覇」、天皇賞を制した者だけが手にできる天皇楯。エフフォーリアは祖父のシンボリクリスエス以来となる3歳での天皇賞制覇。そして、鞍上の横山武史騎手は、祖父・故富雄元騎手(1969年メジロタイヨウ)、父・典弘騎手(2009年カンパニー)に継ぐ史上初の親子三代での天皇賞(秋)制覇。
人馬共に、競馬の魅力である”血統”が紡ぎ出すストーリーとなった今年の天皇賞(秋)でした。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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