きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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今年は《ダビスタ》誕生20周年になるそうです。ゲームソフト《ダービースタリオン》は1991年にデビュー、プレイヤーが生産者、馬主を兼ねるオーナーブリーダーとなり、競馬の醍醐味をとことん味合わせてくれる趣向になっています。ニックスという血統理論も発祥はこのゲームとされ、競馬の大衆化に貢献した功績は計り知れません。

開発者の薗部博之さんは馬主としても良く知られていて、スタープログラマーとかアルゴリズム、ポケッタブルゲームなどゲームつながりの馬名の所有馬で話題を呼びました。

代表馬は今のところバランスオブゲームで決まりですね。《ダビスタ》10周年の2001年にデビューし、新馬、新潟 2歳Sを連勝、薗部さんに初重賞をプレゼントしました。薗部さんの馬のほとんどを預かっている宗像義忠調教師にとっても、実はこれが初重賞でひときわ思い出の深い馬になりました。

華麗なスタート切ったバランスオブゲームでしたが、父フサイチコンコルドが3戦目でダービーを勝った天才肌なのに、けっこう浮き沈みの多い苦労人型のサラブレッドでした。結局、3歳時は弥生賞とセントライト記念、2つのG2にとどまり、クラシックは菊花賞の5着が最高という結果に終わります。

その後も毎日王冠、中山記念2回とG2は確実に拾うのですが、G1となると掲示板がいっぱいという成績が続きました。安田記念と宝塚記念の3着がG1での最高着順でした。多少とも勝負に淡白なところがあったのでしょうか。まぁ、もっとも宝塚記念のときはディープインパクトが立ちはだかっていましたから、あの馬を差せというのは無理です。

バランスオブゲームが挑んだ最後のレースが06年のオールカマー、一連の勝負弱さゆえの惜敗続きが嫌われ4番人気の低評価です。ところが田中勝春騎手はいつになく気分良く先行させ、全馬がひとかたまりの追い比べとなった直線勝負からハナ、クビ、ハナ、クビ、クビとオールカマー史上最大の激戦をみごとに押し切ってしまったから驚きです。G2は6勝目となり、これは日本記録です。でもそんな記録より、これらならG1もと思わせる勝負強いレースぶりが収穫でした。

しかし彼は天皇賞を控えた調教後に左前浅屈腱不全断裂を発症、競走能力を喪失し無念を残してターフを去ります。《ダビスタ》でG1を勝ちまくる馬を創るのは大変なのですが、現実の競馬ではもっと大変だということでしょうか。

薗部さんと宗像調教師、田中騎手のトリオで今度は有馬記念を勝ち切るような馬を輩出してほしいと思います。バランスオブゲームが上げたG2・6勝のうち5勝は中山が舞台です。これほど有馬記念が似合うチームもないでしょうから。

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