きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

トライアル・ファイナル

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1920年10月3日にパリロンシャン競馬場で第1回が開催された凱旋門賞は、ことし2021年10月3日は第100回目の歴史的な蹄跡を刻むことになります。
その凱旋門賞まで1カ月を切り、今週はニエル賞・フォア賞&ヴェルメイユ賞の同コース・同距離のトライアル3レースのラストバトルを残すばかりになりました。同コース・同距離と言っても、今年は馬場状態の保護を目的に7月中旬以降は早々とコースが封鎖され、とくに直線のオープンストレッチを中心に凱旋門賞当日まで少々異なるコース形態でレースが行われています。もともとヨーロッパ独特の気候風土の影響で、凱旋門賞の時期には馬場渋化に悩まされることが多かったのですが、メモリアルイヤーとなった今年は何としても最高のレース実現のために最良のコンディションを提供したいという運営者の皆さんの意気込みがヒシヒシと伝わります。

さて日本馬ディープポンドが参戦する 3歳以上のG2フォア賞は、日本人馬主の共同所有でエイダン・オブライエン師が調教したブルーム、“騸馬の星”スカレッティ、“道悪の鬼神”ワンダフルトゥナイトなど骨っぽい顔ぶれが揃いました。鞍上に地元のトップジョッキーへ上り詰めたクリスチャン・デムーロを迎えたディープポンドは、このメンバー相手に遜色ない競馬ができるようなら本番も楽しみなります。注目したいのはスカレッティ。凱旋門賞には出走権のない騸馬という立場ですから、ここは秘めたる実力のほどを満天下に広く知らしめる絶好機です。先輩シリュスデゼーグルの背中を追うように、ここで強敵を打ち破って“騸馬の凱旋門賞”と呼ばれる連覇中のG2ドラール賞でさらにメダルの数を増やしたい思いで一杯でしょう。

牝馬の大一番G1ヴェルメイユ賞は、ディープインパクトが死後送り出した最大の傑物と評判のスノーフォールが登場します。英オークス16馬身、愛オークス8馬身半、ヨークシャーオークス4馬身とワンサイドな競馬で連勝を続けていますが、今回は今まで以上に難敵揃いという印象があります。主戦のライアン・ムーアがアイルランドで騎乗するため、ここは英オークス鞍上だったランフランコ・デットーリが代打を務めます。気心の知れた仲でもあり、その点はまったく心配ないでしょうね。不気味なのは地元の雄アンドレ・ファーブル師が送り込むフィロメーヌでしょうか。仏オークスは脚を余して2着でしたが、キレ味の冴えは天下一品。侮れません。ノーザンファームの吉田勝己さん所有のアンカルヴィルはG1サンタラリ賞の勝ち馬でもあり、どんな競馬をするか、今後のためにも見ておきたい1頭です。

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