きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

風雨急を告げる凱旋門賞

9月17日は、久保田 貴士 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

月が変わるまでは、ちょっと一息入れてコーヒーブレイク。そんな秋競馬の立ち上がりですが、カレンダーがめくられると途端に、日本では中山名物の急坂でスリリグな横一線の追い比べを繰り広げるG1スプリンターズS、フランスパリでは凱旋門賞ウィークエンドが華やかに開幕します。今年はディープインパクトの忘れ形見スノーフォールが世界中のホースマンの熱い視線を浴びていたのですが、先週のトライアルG1ヴェルメイユ賞で展開不利に泣かされて思いもかけない2着敗退。これで凱旋門賞本番はにわかに風雲急を告げることになりました。

イギリスの大手ブックメーカーはオッズの書き換えに大童(おおわらわ)です。新たに1番人気に浮上したのは牝馬のタルナワでした。3.5倍と立派な評価を貰いました。昨年はヴェルメイユ賞から凱旋門賞デーは牝馬限定のG1オペラ賞を手堅く勝利を収めると、アメリカ遠征して牡馬混合のG1BCターフも制圧して来たるべきシーズンの大輪の満開に備えます。勝負の機微を知り尽くす伝説的オーナーブリーダー・アガ・カーン殿下に手塩にかけて育て上げられました。今季も8月の声を聞くまで動かず、シーズン緒戦は格下のG3バリーローンSを楽勝、そして2戦目にはキレもの揃いのG1愛チャンピオンSで瞬発力勝負への対応力をテストします。準備は万端と見られているのも高い評価に繋がっているのでしょうね。2番人気は4.3倍でゴドルフィンのアダイヤーです。英ダービーとキングジョージ6世&クイーンエリザベスSとビッグ中のビッグレースを連勝して威勢は増すばかりです。

それに続くのが同じゴドルフィンの勝負服を鞍上に、同じフランケルの血を引くハリケーンレーンが着々と評判を高めています。英ダービーこそ仕掛け遅れで3着に敗れた以外は無敗で、以後は愛ダービー、パリ大賞、英セントレジャーと連勝を続けています。古馬との対決が未経験な分だけ人気が控え目なのでしょうが、ポテンシャルの確かさは僚馬以上かもしれません。この風雲児と同じ6.5倍に並ぶのがスノーフォール、トライアルのような極端な上がり勝負にならず、もっとも恵まれた斤量が生きるようならディープインパクトの血の大爆発が見られる可能性がありそうです。ここまでが10倍以下となっています。日本勢のクロノジェネシスは15倍、ディープポンドは21倍で上位勢には一歩譲るグループに組み込まれています。もちろん人気が走るわけではないので、何があっても驚けません。残りの2週間ほど、あれこれ推理をめぐらすのも楽しみの一つです。

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