きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 七夕賞

先週は福島で七夕賞(GIII)が、小倉ではプロキオンステークス(GIII)が行われました。
覆面歌人の京雅さんからは夏の福島名物・七夕賞の和歌が届きました。七夕賞だからでしょうか、空にまつわる馬名トーラスジェミニが優勝し、そのことを和歌に詠んでいただきました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

七夕賞 京雅

他馬を越せ
なんとリズム良い
馬上いざ
叩く合図か
出たよ駆け抜け

隠れたメッセージは「たなばたで せいざかけ → 七夕で 星座駆け」です。
他()馬を越せ(
な()んとリズム良い(
馬()上いざ(
叩()く合図か(
出()たよ駆け抜け(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
夏の福島・七夕賞といえば快速名馬、ファンの記憶にも残り続けるツインターボを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ツインターボのように単騎の大逃げではありませんでしたが、逃げて集団を引っ張ったロザムールとトーラスジェミニの2頭で決着した今年の七夕賞。勝利したのは「おうし座とふたご座」という意味を持つトーラスジェミニでした。半馬身ほど前を逃げるロザムールの後を良いリズムで追走。4コーナーでロザムールの手綱が動き手応えが鈍るのを見ると、鞍上の戸崎圭太騎手は“他馬(ロザムール)を越せ”とばかりに、馬上で相棒のトーラスジェミニを追い出し開始。最後の坂の途中、「最後のひと踏ん張り」と左鞭を2度入れると、内側で粘っていたロザムールよりクビの分前に出て、ゴール板を駆け抜けました。

トーラスジェミニの馬名、おうし座とふたご座はいずれも冬に観測できる星座。七夕で再会する織姫と彦星はベガ(こと座)とアルタイル(わし座)を季節外れの2つの星座が祝福するかのようなトーラスジェミニの激走・・・と捉えると競馬も星座もロマンティックに感じられるかもしれませんね。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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