きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

上がり馬選手権

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ヨーロッパでは7月の声を聞くと頂点を争うG1レースも、クラシックを戦い抜いて来た精鋭3歳馬が、歴戦の雄である古馬の胸を借りる新たな戦いにチャレンジします。有名なのはイギリスのサンダウン競馬場2000mで明日土曜に行われるG1エクリプスSですが、この時期の負担重量は古馬が60.5キロ、3歳が56キロ、牝馬はそれぞれ1.5キロ減を背負います。日本の場合、開催時期が近い宝塚記念を参考にすると、古馬58キロ、3歳53キロ、牝馬は2キロ減と定められ、5キロもらいの3歳馬と牝馬に有利なルールになっています。しかし3歳馬は秋にクラシック最終戦が控えていることもあり、 宝塚へは10年に1頭出るか出ないかの絶滅危惧種的存在となっており、07年にウオッカが51キロで挑戦していますが、アドマイヤムーンの8着に敗れています。ダービー制覇の疲れもあったでしょうが、角居勝彦調教師のチャレンジャー魂には尊敬の思いあるのみです。

さて、今年のエクリプスSはわずか4頭立て。サウジアラビアのダートで本場アメリカ勢を打ち砕いて世界最高賞金レースを奪取!返す刀でドバイ芝のG1シーマクラシックでは世界最強クラスの日本牝馬軍団を圧倒して“二刀流免許皆伝”に輝いたイギリス調教馬ミシュリフが登場します。対する3歳馬代表は、アイルランド調教馬ながらイギリスの2歳王決定戦デューハーストSを勝ち、フランスに遠征して仏2000ギニー、仏ダービーの二冠を制圧したセントマークスバシリカが挑戦します。この2頭の対決ということだけでも十分に興味深くファンに固唾を呑ませる白熱のレースを期待したいものです。

日曜のフランスは、凱旋門賞への挑戦者決定戦とも言えるG1サンクルー 大賞2400mがメインです。99年に日本馬エルコンドルパサーが快勝して、本番の凱旋門賞でも歴史に輝く銀メダルを獲得したように、あまたのチャレンジャーたちが凱旋門賞チケットを巡って激しい争奪戦を繰り広げます。とくに今年は、粋の良い上がり馬が顔を揃えて見応えたっぷりな白熱戦が期待できそうです。宝塚記念にも登録のあったバロンサムディは、世界の名伯楽王エイダン・オブライエン師の長男で父以上に世界を志す気風が強いジョセフ・オブライエン師の管理馬で、5連敗から去勢手術を経て7連勝中の“奇跡の上がり馬”。今季1番の注目馬かもしれません。昨年の凱旋門賞でクビ差2着のインスウープは、今季も開幕から3連勝と順調そのもの。アガ・カーン殿下のエライバも今季はG3、G2を連勝し、三段跳びでG1奪取を狙っています。1勝馬ながら昨年の凱旋門賞4着に食い込んだゴールドトリップは、前出インスウープを負かしたキャリアもあり、一発の底力が不気味です。土曜のサンダウンとともに日曜のサンクルー もお見逃しなく。

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