きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠)  アイビスサマーダッシュ

7月29日は、羽月友彦 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週から新潟競馬が始まり、その開幕戦として、新潟特有の1000mの直線コースを使用した名物レース・アイビスサマーダッシュが行われました。覆面歌人の京雅さんには、このアイビスサマーダッシュを和歌に詠んでいただきました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

アイビスサマーダッシュ 京雅

さすがです
いざ行けトップ
外有利
来るよ混戦
伸びたよラスト

隠れたメッセージは「さいそくの すぷりんと → 最速の スプリント」です。
さ()すがです(
い()ざ行けトップ(
外()有利(
来()るよ混戦(
伸()びたよラスト(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
直線横いっぱいに広がり、競走馬が弓矢から放たれた矢の如く猛進する姿が魅力的な直線重賞アイビスサマーダッシュが今年も新潟、夏の開幕を告げました。
今年、直線の最速スプリント戦を制したのは、さすがの1番人気に応える見事な差し足を見せたオールアットワンスでした。
直線競馬は芝の状態の良い外埒沿いに進路を求めるのがセオリーとされています。そのセオリー通りに歩を進めるのが一昨年の覇者、ライオンボス。そして、ライオンボスより1馬身ほど前を逃げたのは、セオリーを無視して内埒沿いを快走するバカラクイーン。内外いっぱいに離れた2頭を映し出しそうと中継のテレビが引きで映し出す様子も大変興味深い映像でした。
その2頭の脚色がやや鈍ったところに好位から飛んできたのが、オールアットワンス。こちらはやはり外有利のセオリー通り、馬場の外目を急追。ライオンボス、バカラクイーンが競り合いに割って入り混戦に。最後は控えて脚色が良かったオールアットワンスがラストまで伸びて2頭を交わし、最速のスプリント戦を制しました。

レース後に勝ったオールアットワンス、2着のライオンボスと同じくらい注目を浴びたのはバカラクイーンと菅原明良騎手のコンビが3着に粘ったこと。和歌にもある通り、外有利の通説を覆す走りに、元騎手の安藤勝己さんも「レースの立役者は菅原明。バカラクイーンはあの進路で3着に残したからこそ価値がある」とコメント。来年のアイビスサマーダッシュはセオリー通り外に馬が殺到するのか、それとも今年の結果を踏まえ、内を選ぶ馬が現れるのか、来年への楽しみ増えた一戦でもありました。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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