きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 天皇賞(春)

先週は伝統の天皇賞(春)(GⅠ)が行われました。混戦と言われた今年の天皇賞(春)を制したのはあの実力馬でした。覆面歌人の京雅さんからは、この天皇賞(春)の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

天皇賞(春) 京雅

鍛えてた
苦しさ超えて
伸びて差せ
一騎が強い
実力馬は

隠れたメッセージは「きくのいじ たてせいは → 菊の意地 楯制覇」です。
鍛()えてた(
苦()しさ超えて(
伸()びて差せ(
一()騎が強い(
実()力馬は(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
今年は阪神競馬場3200mで行われた第163回天皇賞(春)。雨で馬場がやや渋ったこともあり例年以上にスタミナを要する勝負となることが予想された決戦を制したのは、2年前のGⅠ・菊花賞馬(実力馬)、ワールドプレミアでした。
3歳の秋に菊花賞を制して、充実期になるはずだった昨年の4歳シーズンが、復帰に手間取り戻ってこられたのは暮れも近づいた11月のジャパンカップでした。順調にレースを使えなかった苦しさを超えて鍛えあげてきた今年、得意の長距離戦で再び花開きました。4コーナーから外目を追いながら駆け上がると、馬場の中ほどを一騎抜け出してきました。食い下がる1番人気のディープボンドを菊花賞馬の意地で、退けると約1年半ぶりの勝利が待っていました。クラシックを制した実力馬がその能力をいかんなく発揮して天皇賞を制したものに与えられる楯を手にしました。

さて、この和歌制作の裏話として、隠れたメッセージの候補として「親子での 楯制覇」もありました。ワールドプレミアの父ディープインパクトは2006年の同レースの覇者。そして、鞍上の福永祐一騎手の父である福永洋一元騎手は1976年にエリモジョージでこのレースを優勝しており、こちらも親子制覇。まさに人馬ともに親子の絆が紡いだ勝利、と言えるのではないでしょうか。



※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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