きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

強い日本馬の問題点

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今週は“春の国際競走デー”としてお馴染みになってきた「香港チャンピオンズデー」。昨年はコロナ禍で日本馬の遠征は取りやめになりましたが、一昨年はG1クイーンエリザベス2世Cをウインブライトがレース史上初の2分を切るレコードでチャンピオンベルトを巻いています。ところがそのチャンピオンズデーの華・クイーンエリザベス2世Cですが今年はわずか7頭立て。しかもそのうち日本馬が4頭と頭数も人気も独占状態になっています。もう一つの日本における馬券発売対象のG1チェアマンズスプリントプライズも、頭数は揃ったものの唯一の日本馬ダノンスマッシュが、ブックメーカーオッズになりますが、この馬だけ飛び抜けた一番人気に支持されています。

日本馬の急速な成長ということも影響しているのでしょうが、かつて“飛ぶ鳥を落とす勢い”でマイルG1を次々と8勝して世界に名を轟かせた“絶対王者”ビューティージェネレーション、中長距離の二刀流でG1を5勝したエグザルタントなど日本勢の度重なる遠征を跳ね返して君臨したスーパースターたちに衰えが目立ち始め、もともとロードカナロア以外の日本馬には影も踏ませなかった快速スプリンター軍団も主力馬の故障脱落などが相次ぎ、あるいは次代チャンピオン候補が伸び悩み、前回はダノンスマッシュに屈辱的な親仔制覇を実現されてしまいました。

ちなみにクイーンエリザベス2世Cは1着賞金1425万HKドル≒1億9237万円の高額賞金レースで、これにとどまらず総賞金2500万HKドル≒3億3750万円の大半を、競馬のことですからやって見ないと分からないのですが、ゴッソリ日本馬が掻っ攫(かっさら)っていく可能性も十分にありそうです。ダノンスマッシュのスプリントG1も1着賞金1026万HKドル≒1億3851万円と彼自身が先日ゲットしたG1高松宮記念の1億3000万円を上回る豪華版です。世界の世論は「これまで日本では、“海外の馬と互角に戦える強さを身につける”という目標に向かって、競馬界全体が一丸となって進んできた。そしてその目標は達成しつつあると言っていい。しかし、強くした後どうするのか?互角となった海外勢とどう向き合っていくのか?」と、つまり賞金稼ぎに精を出すだけではなく、日本で行われるレースもフェアに開放すべき、そんな声が高まってきそうです。考えねばならない積年の宿題ですね。

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