きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2011.1.11

ようこそいらっしゃいませ。

人気者だったユキチャンが引退して繁殖に上がるそうです。目にしみるような鮮やかな白毛の持ち主でどこにいても一目で分かり馬券を買ったファンを最高に楽しませてくれる馬でした。

彼女は美浦の後藤由之厩舎からデビューし、オーナーの金子真人さんのはからいもあったのでしょうが、関東オークスからは武豊騎手とコンビを組むことが多くなり、その点でも地方のファンを喜ばせ盛り上げてくれました。

やがて彼女は川崎の山崎尋美厩舎に移ることになります。詳しい事情は分からないのですが、たぶんダートが得意な牝馬にとってレース体型が充実した地方が住みやすかったということでしょう。

中央には牝馬限定のダート重賞はありません。それで交流重賞に活路を求めることになるのですが、JRA所属馬には出走枠の制限が壁となって立ちはだかります。

ちなみに来月2日、大井競馬場で開かれるTCK女王盃は、南関東8頭、他地区3頭、JRA5頭の割り振りになっています。他の交流重賞もおおむねこんな枠が定められています。地方所属馬がJRA重賞に出ようとすると逆の現象が起きますが、牝馬にはめざすべきレースが地方にしかないのですから、地方に所属した方が合理的だということになります。

最近でも国枝栄厩舎で活躍していたザッハーマインという牝馬が大井の出川克己厩舎に転厩して牝馬限定レースを専門に使われ、3戦2勝2着1回と水を得た魚のような姿を見せています。TCK女王盃ではたぶん本命に押されたりするのでしょうね。もし彼女がJRA所属のままだったら、彼女は1000万特別を勝ったばかりの身でしたから、賞金不足ではねられ出走すらかなわなかったはずです。

ダートレースも一個の確立されたカテゴリーとして定着しています。所属組織によって出走できるレースが制限されるのは、また能力を発揮できる場すら与えられないのは、馬にとって気の毒でホースマンには不幸な環境ですね。ユキチャンの転厩や引退はハッピーエンドではなくて、競馬界の歪みがもたらした“悲劇”のようにも思えます。心配りのきいた番組編成を考えてほしいものです。