きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

牝系山脈への道

ようこそいらっしゃいませ。

今週は、もうクラシック第1弾桜花賞のスタートが切られます。純白の馬体そのままに無傷のままゲートインに漕ぎ着けた白毛のソダシ、キレ味天下一品のサトノレイナス、潜在能力はピカ一かも知れないメイケイエール、牝馬三冠アパパネの娘さんアカイトリノムスメ、遙か南の空を照らすように輝く九州産の星ヨカヨカなど、個性豊かな顔ぶれが勢揃いして、桜の宴にふさわしい華やかな一番になりました。アパパネもそうですが、ソダシの母ブチコなど思い入れの深かったお母さんたちが、母から仔へ、仔から孫へと名を連ねるのも競馬ならではの光景です。

話はいきなり海の向こうへ飛びますが、今週はじめ、パリのサンクルー競馬場で世界中のファンが騒めくような顔ぶれでレースが行われました。いずれ劣らぬ良血馬13頭が距離1600mのメイドン(未勝利戦)に集結したのですが、その中には凱旋門賞連覇の名牝トレヴの初仔パリ(父インヴィンシブルスピリット系シャラー)、G1・14勝のヨーロッパ記録保持者ゴルディコヴァの娘ゴルディスタイル(父ドバウィ)の姿が見られました。結果は名門ジュドモントファームのオーナーブリーダー馬でフランケル産駒のウェンズリーデールが完勝して、ゴルディスタイル3着、パリ6着という残念な結果でしたが、いきなりパキパキに仕上げてくるはずもなく、次走を含めて今後の変わり身に期待しても良さそうです。

ゴルディコヴァは、大オーナー・ヴェルテメール家の方針でアイルランドのクールモアに預託されて繁殖生活を送っていたのですが、惜しくも今年1月に16歳で亡くなりました。現役時代を管理したフレディ・ヘッド師は、自らが騎手として手綱を握った名牝ミエスクと比較して「ミエスクを超えた!」と断言しています。しかしミエスクは大種牡馬キングマンボなど歴史的な牝系山脈を築きました。ゴルディコヴァの真価は、忘れ形見ゴルディスタイルなど後継にかかっています。トレヴにも同じことが言えるでしょう。この先10年、20年、あるいはもっと長くファンを楽しませてくれるでしょうね。

×