きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 大阪杯

先週は降りしきる雨の中、春の中距離王決定戦の大阪杯(GI)が阪神競馬場で行われました。覆面歌人の京雅さんからも和歌が届きましたので、是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

大阪杯 京雅

無理せずに
ハナに立ち逃げ
一騎行き
出番張り切り
伸び戴冠だ

隠れたメッセージは「むはいでの にげきりだ → 無敗での 逃げ切りだ」です。
無()理せずに(
ハ()ナに立ち逃げ(
一()騎行き(
出()番張り切り(
伸()び戴冠だ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
戦前の予想通り雨の中での戦いとなった第65回大阪杯。無敗の三冠馬コントレイルと短距離女王グランアレグリア、そしてクラシックではコントレイルにあと一歩まで迫ったサリオスの3頭対決に注目が集まり、オッズでも3番人気までが一桁台と抜けた評価を得ていましたが、勝ったのは無敗でここまで駒を進め、これが初のGI挑戦となった4歳牝馬レイパパレでした。
逃げ予想がされていたレイパパレは、スタートでバランスを崩し遅れるも他馬の状況を見ながら無理せずにハナに立ち逃げると、重馬場のレースとしては、やや早い前半の1000mを59.8秒で一騎軽快に逃げます。
4コーナーでコントレイルとグランアレグリアの2頭が外から徐々に進出するも、レイパパレも同様にペースを上げ、直線入り口では馬場の良い外側に持ち出すほどのセーフティーリード。”ここが出番!”とばかりに後続との差を広げると、最後にもう一伸びしたレイパパレが、終わってみれば2着モズベッロ(コントレイルとグランアレグリアは直線で馬場を苦に伸びあぐね夫々3着と4着)に4馬身差の完勝で初のGI戴冠を”無敗”という肩書付きで逃げ切りで達成しました。

3歳時から実力は評価され、秋華賞に出走していたら(抽選で除外)デアリングタクトの無敗での牝馬三冠を脅かす最大のライバル馬と目されていたレイパパレが遂に勲章を手にしました。今回もそうですが、自らレースを作れる強みがあるレイパパレ。今後は放牧に出る予定とのことですが、次走はマークが厳しくなる中で、その強さを発揮できるか、今から楽しみです。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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