きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2011.10.5

ようこそいらっしゃいませ。

シンボリルドルフが亡くなったそうです。凱旋門賞の翌朝、30歳という長寿を全うしてくれました。ご冥福をお祈りします。

昨年秋シンボリ牧場にお邪魔する機会がありました。日本を代表するホースマン故和田共弘さんの夫人容子さんに身内から眺めたシンボリ牧場の歴史をお聞きするためです。(ご興味のある方は当サイト『ホースマン・サロン』をご覧ください)

容子さんのご好意でルドルフに会わせていただきました。彼は和田家の棟つづきに建てられた立派な専用馬房で皆さんにとても大事にされて余生を過ごしていました。彼だけのための放牧場だったのか、あるいはたまたまだったのか、ルドルフがただ1頭だけで悠然と草を食む姿は、孤高というよりは別世界の存在のように見えました。言葉にするのは難しいのですが敢えてすれば《神》のような。

もちろん神を見たことなどはありません。でも、漂う気品、凛とした風情、何ものの超越も許さない絶対感、それを言葉にすれば《神》としか思いつかなかったのです。改めてサラブレッドという存在の偉大さを思い知らされました。

今でも残念に思っていることが一つだけあります。ルドルフが凱旋門賞に行かなかった(行けなかった)ことです。偉大な彼のたった一つの忘れものかもしれません。ところが残念なことに彼の血を繋いで、ロンシャンへたった一つの忘れものを取りにいくことは、もうほとんど不可能なことのように思えます。そもそも和田さんがフランスから発掘してきたパーソロンに牧場中興の祖スピードシンボリの娘を配合して生まれたシンボリルドルフという存在がすでに奇跡でした。それを思えばトウカイテイオーというダービー馬を輩出してくれたことは幸せだったと思います。

皇帝、帝王親子はともに有馬記念を制覇して中山のターフとファンの心に思い出を刻み込んでくれました。この大切な思い出を未来に繋ぐような記念レースをぜひ新設してもらいたいと願っています。合掌。