きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) チャンピオンズカップ

12月10日は、高橋 康之 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
近年でも稀にみる豪華な戦いとなったジャパンカップから1週間が経ち、今度は中京競馬場でダートの王者決定戦・チャンピオンズカップ(GI)が行われました。覆面歌人の京雅さんからは、このチャンピオンズカップの和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

チャンピオンズカップ 京雅

圧勝だ
ライバルスター
倒すのと
何と良い顔
ルート最高

隠れたメッセージは「あらたなる だーとおう → 新たなる ダート王」です。
圧()勝だ(
ラ()イバルスター(
倒()すのと(
何()と良い顔(
ル()ート最高(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
年の瀬のダート王者決定戦としてすっかり定着したチャンピオンズカップ。今年も16頭フルゲートで行われました。戦前の注目は国内ダート無敗のクリソベリル。昨年の覇者でもあり、単勝1.4倍の圧倒的な人気に支持されましたが、このライバルスターを破ったのはチュウワウィザードでした。2着ゴールドドリームとの差は2馬身半つけており、圧勝と言える内容。
道中は若干かかり気味の王者クリソベリルをマークできるところで折り合う、まさにルート(位置取り)は最高。決勝戦では伸びあぐねるクリソベリルをしり目に、逃げ粘るインティをきっちり捕らえ、追い上げるゴールドドリームも寄せ付けない素晴らしい脚でゴール板を駆け抜けました。
「王者クリソベリルを倒す!」という目標を達成してゴールしたチュウワウィザードの顔は、すでに新たなるダート王者の風格すら感じる威厳がありました。昨年のチャンピオンズカップ、今年の帝王賞(JpnI)、JBCクラシック(JpnI)とクリソベリルの後塵を拝してきましたが、今回の勝利でようやくリベンジに成功。次は王者としてクリソベリルとの戦いに臨むことになるでしょう。

鞍上の戸崎圭太騎手は2018年の皐月賞をエポカドーロで制して以来のGIタイトル。大井出身の戸崎騎手が得意のダートで金星を挙げました。チュウワウィザードの顔だけでなく、勝利ジョッキーインタビューに答える戸崎騎手の表情も「何と良い顔」そのものでした。
少し気が早い話ですが、一つ気になるのはJRA賞・最優秀ダート馬の行方。チュウワウィザードは今年、地方交流JpanIを1勝と今回のJRAGIの1勝で計2勝。ライバルとなるクリソベリルはチュウワウィザードに対する敗戦は今回が初めてですが、2020年の実績では地方交流JpnI2勝と、今年の実績で比べるとチュウワウィザードに軍配が上がる気がします。これまでの対戦成績、今年の実績を比べると票が割れることも考えられます。票を投じる競馬記者の方々も頭を悩ませるのではないでしょうか。来年に発表されるJRA賞にも注目です。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。


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