きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 天皇賞(秋)

11月5日は、嘉藤 貴行 騎手、丹内 祐次 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
偉業達成で賑わっているこの秋のGI戦線。秋華賞(GI)では史上初の無敗の牝馬三冠馬デアリングタクトが、菊花賞(GI)では、史上3頭目の無敗の三冠馬コントレイルが誕生しました。そして先週の日曜日の天皇賞(秋)(GI)では、またひとつ競馬史を塗りかえる芝のGI8勝という記録を女帝・アーモンドアイが打ち立てました。覆面歌人の京雅さんからは、この天皇賞(秋)の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

天皇賞(秋) 京雅
※今回の隠れたメッセージはやや難しめ!ヒントは3句目です。是非、挑戦してみてください!

称えるさ
展開凄い
取る快挙
立派感動
天皇賞馬

隠れたメッセージは「たてとりて さいきょうば → 楯取りて 最強馬」です。
称()えるさ(
展()開凄い(
取()る快挙(きょ
立()派感動(
天()皇賞馬(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
第162回天皇賞(秋)、その注目を一心に集めたのはアーモンドアイ。このレースで史上初の芝のGI8勝を達成するか否かがかかります。春の安田記念でも8勝目の記録に挑戦しましたが、グランアレグリアの後塵を拝しました。休養・立て直しを経て、天皇賞(秋)での記録達成を狙います。
レースはダノンプレミアムが引っ張る展開。アーモンドアイは先行の4番手で折り合い、そのまま直線を迎えます。鞍上のルメール騎手は追い出しの機を伺い350m付近までは手綱は追わず持ったまま。逃げ粘るダノンプレミアムとの差を十分に詰めた状態で、追い出しを開始。残り220m付近でルメール騎手が右鞭を入れると、さらに加速します。この一戦を見るために集まった有料入場者数947名のボルテージも最高潮に高まります。残り150mを通過した辺りでいよいよ先頭に立つアーモンドアイ。ゴール直前では、春のグランプリ宝塚記念覇者のクロノジェネシス、さらにその外からは春の楯・天皇賞優勝のフィエールマンが襲い掛かりますが、アーモンドアイも負けじともう一伸びしたところが栄光のゴール板でした。
ゴール板を通過した直後のアーモンドアイにスタンドから拍手が送られました。スタンドのみならず競馬関係者、テレビの前のファンを含め、多くの人がこの偉業を称えたことでしょう。芝のGI8勝目を取り、史上初となる快挙を成し遂げたアーモンドアイの走りは立派・感動。2年連続で楯を取る、素晴らしい快走の天皇賞馬です。

今回の隠れたメッセージ、解読できたでしょうか?3句目が拗音のため、「きょ」が隠れたメッセージとなりましたが、ここがポイントでした。
「楯取りて 最強馬」このメッセージの通り、現役馬では現時点でアーモンドアイが実績的にも最強。今後は冒頭にも触れたデアリングタクトやコントレイルといった若い勢力との戦いが待っているでしょう。レース後、涙ながらにアーモンドアイを称えたルメール騎手は「彼女は、アーモンドアイは、まだ走りたいから」と今後の走りも期待した様子。ファン心理としても、まだまだアーモンドアイの旅路を見守りたい心境ですね。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

×