きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

道悪凱旋門賞

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脚にまとわりつくような道悪馬場を舞台に、生命を削るような凄絶な追い比べを演じた昨年の凱旋門賞から1年、パリは今年も雨模様のようです。今季は1000ギニー、オークス、ヨークシャーオークスとG1を圧勝続きで無傷の3連勝と良馬場であれば爆発的な瞬発力を発揮するラヴは、3歳牝馬ゆえに斤量的なアドバンテージもあって、打倒!エネイブルの1番手に上げられていました。しかし降り続く雨に、エイダン・オブライエン調教師はロンシャンへのゲートインを断念。彼女の凱旋門賞は終わりました。

昨年は力の要る馬場には伝統的に適性を備えているドイツ牝系のヴァルトガイストがゴール前で女王エネイブルを差し切る逆転劇を披露しましたが、今年もドイツダービーを父子制覇しているインスウープの人気が急上昇しているようです。彼はドイツ血統をルーツにアイルランドで生まれ、フンスで育てられたグローバルホースで、それぞれの良さを併せ持つ柔軟な多様性が魅力です。ヴァルトガイストの再現が成るのでしょうか?

ラヴを自重させたエイダン・オブライエン厩舎は、ジャパンとモーグルの全兄弟、未勝利から連闘でダービーを逃げ切ったサーペンタインなど俊英揃い!ジャパンは武豊、モーグルにライアン・ムーア、超高額な追加登録料を支払ってゲートインするサーペンタインはクリストフ・スミヨンと鞍上も世界の顔が並びます。主役は史上初の3勝目を睨み主戦ランフランコ・デットーリが自信の手綱を操るエネイブル、ランフランコから凱旋門賞男オリビエ・ペリエにバトンタッチした史上最高峰の名ステイヤー・ストラディスヴァリウスのジョン・ゴスデン配下の歴史的名馬両騎です。今年のパリロンシャン、は例年以上にジョッキー同士の誇りや意地のぶつかり合いが興味深いものになりそうです。

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