きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 毎日王冠

10月15日は、川田 将雅 騎手、西谷 誠 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週から、秋の東京開催が始めりました。指定席を事前購入したファンの方もご来場が可能となり、久しぶりに競馬場にお客様が戻りました。覆面歌人の京雅さんからは、秋の東京開催の開幕を告げる伝統のGⅡ・毎日王冠の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

毎日王冠 京雅

さあ跳ばせ
リードし強い
追えば越え
すべて万全
虹を渡るよ

隠れたメッセージは「さりおすに せいえんよ → サリオスに 声援よ」です。
さ()あ跳ばせ(
リ()ードし強い(
追()えば越え(
す()べて万全(
虹()を渡るよ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
いよいよ秋の東京開催が開幕しました。指定席のみですがお客様も競馬場に入場でき、競馬場に声援が戻るのは本当に喜ばしいことです。
先週は秋の東京開催ではおなじみの毎日王冠が行われました。注目は3歳馬のサリオス。春のクラシック、皐月賞(GI)と日本ダービー(GI)ではコントレイルの前に悔し涙を流しましたが、秋は菊花賞ではなく、古馬のとの戦いを選択。今回がその初戦となりました。
レースは逃げ馬2頭が後続を引き離す展開で、サリオスは4番手で折り合います。直線で東京巧者のダイワキャグニーが抜け出そうとするところを、サリオスがすかさず並びかけ、ルメール騎手の「さあ跳ばせ」という右ステッキの合図があるとグンと加速しリードを広げ、“スタート”“道中”“終い”の三拍子全てが噛み合った万全の状態で、三馬身差をつけて優勝しました。
台風の影響も懸念された当日の東京競馬場でしたが、何とか雨は降らずに毎日王冠の発走ができました。サリオスもこの勝利で春の悔しさを晴らし、2歳時以来のGIタイトルに向け「虹を渡る」、という状況を最後の句に込められています。ファンの戻った競馬への喜び、サリオスへの声援など万感の思いを隠れたメッセージに忍ばせた和歌ですね。

午前中の一般レースでは、まだまだお客様の来場も少なく、少し寂しい雰囲気もあった東京競馬場でしたが、毎日王冠では、サリオスが優勝した際にスタンドから拍手が沸き起こりました。オーナーの喜びもひとしおだったと思いますが、この開催、GIに繋がる伝統の毎日王冠を心待ちにしたファンの思いも溢れた一日でした。

今週末の注目はやはり、史上初、無敗の牝馬三冠馬が誕生となるかどうか。挑戦するのはデアリングタクトですが、ライバル馬も虎視眈々と秋華賞タイトルを狙っています。次週はこの秋華賞の和歌をお届けする予定ですので、是非、お楽しみに!


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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