きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

凱旋門賞への道

10月9日は、中村 将之 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

アーバンシーという牝馬がいます。1993年の凱旋門賞で、後に日本で種牡馬入りするホワイトマズル、オペラハウスを破って世界の頂点を極めた名牝です。しかし、ご存じのように繁殖入りした彼女はガリレオ、シーザスターズと世紀の名馬を送り出し、とくに近年は凱旋門賞で孫・曽孫世代を凱旋門賞に送り込み、上位を独占する無双劇を演じて絶大な影響力を発揮しています。伝説となった16年は、ファウンド・ハイランドリール・オーダーオブセントジョージのエイダン・オブライエン厩舎所属のガリレオ産駒が1-2-3フィニッシュを決めて、世界のホースマンを仰天させました。火が点いたアーバンシーの血は、翌17年にはエネイブルを先頭に1-2-3-4を独占、18年には1着から8着までをアーバンシーの血を受け継ぐ馬が占めました。昨年もこの記録は更新され、アーバンシー牝系のサラブレッドが凱旋門賞5連覇に王手をかけています。

今年はいささかイレギュラーでコロナ禍に加えて、エイダン・オブライエン厩舎のガリレオ有力馬であるラヴやマジカルが不良馬場を嫌って早々と回避、ジャパン・モーグル全兄弟は思いがけないアクシデントに巻き込まれて直前で出走取消、アーバンシー牝系の金字塔樹立は危機一髪となりましたが、クリスチャン・デムーロ騎手の鞭に応えて母父ガリレオのソットサスがクビ押し切って栄光のゴールに飛び込みました。自身も産駒もマイラー色の濃いシユーニですが、ここ一番で2400mを乗り超える底力をサポートしたアーバンシー&ガリレオ母子のポテンシャルはさすがです。

ガリレオは既にナサニエルやフランケルを出して世界の頂上を争うサラブレッドを次々と輩出していますし、シーザスターズも偉大な兄を追って実績を積み上げています。英ダービー馬マサーは故障で凱旋門賞には縁がありませんでしたが、アーバンシー3x4の黄金クロスを内包しており、種牡馬としての今後がちょっと楽しみです。しかし少なくとも近年の凱旋門賞ゲームは、フランス、イギリス、アイルランド、ドイツなどヨーロッパ競馬先進国を中心に生産・育成・調教・実戦を一貫して争われており、客観的には日本の出番は余りなさそうだというのが現状でしょう。オルフェーヴルが後一歩まで近づいた表彰台の真ん中から、遠ざかった印象もあります。

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