きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) スプリンターズステークス

10月8日は、宮田 敬介 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週は秋の中山の締めくくり、短距離王者決定戦のスプリンターズステークス(GⅠ)が行われました。今週の東京・京都・新潟開催からは一部、お客様を入れての競馬開催が決定しているため、このスプリンターズステークスが無観客で行われる最後のGⅠであることを願いたいですね。覆面歌人の京雅さんからも、スプリンターズステークスの和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

スプリンターズステークス 京雅

あ遅れたか
冷静万全
ぐっと差せ
リードが凄い
あの末脚だ

隠れたメッセージは「あれぐりあ かんせいだ → アレグリア 歓声(完成)だ」です。
あ()遅れたか(
冷()静万全(
ぐ()っと差せ(
リ()ードが凄い(
あ()の末脚だ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
「あ!出遅れた!」観戦していた誰もが、スタート直後にそう発した、または思ったことでしょう。第54回スプリンターズステークス(GI)は無観客で行われ、馬たちもいつもと違う雰囲気を察したのか、出遅れた馬が2頭。それが1番人気のグランアレグリアと前哨戦セントウルステークス(GII)の覇者で3番人気のダノンスマッシュだったから驚きです。
しかし、ここで慌てず冷静に立ち回るのが、実力馬2頭の凄いところ。グランアレグリアは出遅れ後、腹を括り後方待機。ダノンスマッシュは二の脚が早く先団までスムーズに押し上げます。
直線、4番手で迎えたダノンスマッシュが、前を行く2頭交わし、先頭のミスターメロディに迫ろうとした、まさにその時、大外強襲。ぐっと一頭違う次元の末脚であっという間に抜き去ったのがグランアレグリアでした。上がり3ハロン33秒6というメンバー最速の脚で、最後はスプリント戦で2馬身のリードをつけて優勝。
春にはアーモンドアイを下してマイル王に、そして、今回はスプリント王に輝き完成されたグランアレグリア。もしも、無観客競馬でなければ、この女王に、スタンドから拍手喝采。歓声が沸き起こっていただろう、そう思わずにはいられない素晴らしい走りでした。

グランアレグリアの意味はスペイン語で大歓声。京雅さんの言う通り、この日のグランアレグリアは大歓声が相応しい快走でした。2着になったダノンスマッシュの鞍上・川田騎手も「勝ち馬ははるかに強かった」とグランアレグリアの異次元の走りに脱帽するコメントを残しています。
例年ですと、この後のローテーションはマイルチャンピオンシップ(GI)や香港国際競走(香港スプリントや香港マイル)が考えられますが、マイルチャンピオンシップは京都競馬場改修により阪神競馬場での施行。香港国際競走は新型コロナウイルスの影響で渡航すら難しい状況とあり、例年通りではいかないところが悩ましいところ。「あの末脚を広い東京競馬場で見たい」と感じるファンも多く“次走:天皇賞(秋)”を待ち望む声もあるようです。今後の陣営の選択に目が離せません。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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