きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) フローラステークス

先週は、優駿牝馬・オークスのトライアル競走、フローラステークスが開幕週の東京競馬場で行われました。上位2着までにオークスへの優先出走権が付与されるとあって、各場オークスへの切符を掴むべく、最後の直線は見ごたえあるレースとなりました。覆面歌人の京雅さんからは、このフローラステークスの和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

フローラステークス 京雅

さあ真顔
愛馬はスター
すべて咲く
末脚伸ばす
名馬は樫へ

隠れたメッセージは「さあすすめ おーくすへ → さあ進め オークスへ」です。
さ()あ真顔(
愛()馬はスター(
す()べて咲く(
末()脚伸ばす(
名()馬は樫へ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
GIオークスに向けたトライアル競走・フローラステークス。オークスへの出走権を得るべく人馬とも鬼気迫る真顔でスタートを切りました。夢のオークスという舞台を目指す出走愛馬全頭が馬主様にとってはスター。無観客競馬で、競馬場に応援には行けませんが、馬主様の思いを乗せて、全頭が力を出し切って咲き誇って欲しい、そのようなエールを込めた言葉です。
全頭がゴールを目指す中、末脚を伸ばしたのは、先行して内側に進路をとったウインマリリン。最後は迫るホウオウピースフルとフアナを振り切って見事1着でゴール板を駆け抜けました。フローラステークスを優勝した名馬は、樫・オークスの場でどのような花を咲かせるか、フローラステークス組のオークスの活躍を期待したいところです。

今回の和歌は、レース名の花を連想させる「フローラステークス」にかけて、「咲く」という言葉がキーワードでした。また無観客競馬で応援に行けない馬主様の思いを、愛馬に託して、何とか「咲いて」(活躍して)欲しいと、いう意味もこの「咲く」という言葉にかけられていました。
さて、今週は天皇賞(春)が行われます。3200mの長距離GIは、騎手の駆け引きも見どころのひとつ。是非、今週末も競馬をお楽しみください。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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