きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

海外遠征から海外進出へ

12月27日は、国分 恭介 騎手、国分 優作 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

「きょうの蹄音」毎週金曜は海外競馬情報を中心にお届けしています。日本調教馬の海外遠征が当たり前になって来ましたが、今年も日の丸サラブレッドが世界各地で存在感を示してくれました。中でも橋田満厩舎のディアドラのチャレンジは傑出した価値があったと思います。単なる海外遠征というより、計画的戦略的な海外進出のイメージです。思えば今季緒戦こそ中山競馬場で迎えましたが、ドバイで戦い、そこから香港に移動すると次は直接イギリスに渡り、英愛の競馬場を転戦。締めくくりは香港、そして日本ではなくニューマーケットに帰って来季に備えています。もう1年近くも彼女は日本の土を踏んでいません。過去には輸送手段の制約もあって現地に棲み着いたハクチカラ、ダービーを勝った直後にフランスに飛び立ったシリウスシンボリが現地厩舎に転厩して2年近くの間に凱旋門賞を含めて14戦した記録が残っています。しかし、これらは遠征や進出というより移籍であり、日本人ホースマンに蓄積される技術やノウハウの質や量に限界があったと思います。その点、ディアドラは数多くの学びを日本競馬にもたらしているだけではなく、美しいグローリアス・グッドウッド競馬場のナッソーSを快勝する極上のプレゼントを贈り届けてくれました。海外遠征馬MVPを選ぶとしたら彼女かもしれません。

暮れの香港国際競走では4つのG1レースで日本馬が3勝と快挙を成し遂げました。グローリーヴェイズとラッキーライラックの日本馬ワンツゥーで決着した香港ヴァーズ、アドマイヤマーズが世界のマイル王ビューティージェネレーションを打ち破った香港マイル、それぞれに持ち味を全開したのは立派でした。中でもひときわ輝いたのは香港カップのウインブライトです。多少メンバーに恵まれた印象はありますが、世界の名門エイダン・オブライエン厩舎の秘密兵器マジックワンドの強襲を凌いで、クイーンエリザベス2世カップに続いて、香港でも最上級の格式を誇る春秋のカップ戦を連覇したのは威張れます。春秋連覇は、05年ヴェンジェンスオブレインと14年デザインズオンローム以来3頭目だそうで、名馬の仲間入りを確実なものにする金字塔でした。

リスグラシューのコックスプレート完勝も歴史的快挙と言って良いでしょう。長距離のメルボルンCに匹敵する中距離の名レースで、昨年まではウィンクスが4連覇の偉業を成し遂げて世界に知られたビッグレースです。173mと短い直線で一気に馬群を切り裂いた末脚の切れに惚れ惚れとさせられました。リスグラシューは、この勝利で宝塚記念馬に贈られるボーナスと併せて500万AUSドル≒3億8000万円を獲得しています。馬もワールドクラスの実力を備えると、自ずと選択肢も広がるものですね。史上屈指のパフォーマンスで圧勝した有馬記念とともに、日の丸サラブレッドの最高峰・年度代表馬にふさわしい1年だったと思います。
それでは皆様、良いお年をお迎えください。
来年もよろしくお願い致します。

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