きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 秋華賞

先週末は台風19号の影響で土・日曜日の東京開催が中止・延期となりました。GIの行われる京都競馬場も開催が危ぶまれましたが、何とか開催ができました。日曜日の秋華賞当日には大変な台風のあとにも関わらず、多くのお客様が京都競馬場を訪れ、国民の中に、スポーツとしての競馬が浸透してきた様子を感じることもできました。覆面歌人の京雅さんからは、その秋華賞の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

秋華賞 京雅

さぁ勝つさ
いざ秋華戦
ご覧、坂
駆け降り自信
突き放したの

隠れたメッセージは「さいごかつ さんかんの → 最後勝つ 三冠の」です。
さ()ぁ勝つさ(
い()ざ秋華戦(
ご()覧、坂(
駆()け降り自信(
突()き放したの(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
牝馬三冠最終戦となった秋華賞は、桜花賞馬・オークス馬不在の一戦。これまでの秋華賞の歴史の中でも、桜花賞・オークスの両覇者が不在の年は2002年の一度だけ。その年は春のクラシック未出走の上がり馬、ファインモーションが優勝。今年も春のクラシック経験馬VS夏の上がり馬が注目されましたが、結果は春のクラシックで悔し涙を流し続けたクロノジェネシスが優勝しました。
近年多くなってきたトライアルなどの前哨戦を使わず、ぶっつけ本番で秋華賞に臨んだクロノジェネシス。賞金面は十分でしたから、万全のケアをして、本番に向かい、絶対に春の雪辱を果たしてほしいという陣営の思いも伝わります。
レースは前半1000mを58.3秒という早い流れのなか、クロノジェネシスは中段でしっかりと折り合います。手応え十分、理想的なポジションで坂を駆け降り、自信をもって追い出しを開始。直線では、同じく春のオークスで悔しい思いをしたカレンブーケドールとの追い比べの後、突き放して牝馬三冠最終戦を制しました。
乗り替わりも多い近代競馬で、クロノジェネシスと北村友一騎手はデビュー戦から苦楽を共にした名コンビ。台風一過の青空に二人の笑顔が満開となりました。


管理する斉藤崇史調教師は本勝利でGI初勝利。調教助手時代には、レッドディザイアで秋華賞の喜びを味わいましたが(なんと馬番号は二頭とも5番で同枠同番)、縁のある同レースが調教師としての初GI勝利となりました。37歳の若さでの戴冠となりました。
クロノジェネシス、今後は斉藤厩舎に滞在したまま、11月のエリザベス女王杯を目指す模様。こちらには春に敗れたオークス馬ラヴズオンリーユーも出走を予定。秋のタイトルを手に、春の雪辱に燃えています。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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