きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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昨日のファンタジーS(芝1400m)を快勝したアイムユアーズは、非常にチャレンジングな血統の持ち主です。父ファルブラヴ、母系は曽祖母ダイナカールですから、社台・ノーザン系には普通に見られる配合です。どこがチャレンジングかというと………。

ご存じのように曽祖母ダイナカールはオークスに勝った一流馬。娘たちも優秀でエアグルーヴ(父トニービン)は競走馬としても繁殖牝馬としても超一流の実績を残しています。その1歳上の半姉にセシルカット(父サンデーサイレンス)がいます。この牝馬にエルコンドルパサーを配合して生まれたのが、アイムユアーズの母セシルブルースということになります。

エルコンドルパサーは大種牡馬キングマンボの初年度産駒で、母父サドラーズウェルズとの黄金配合の最初の成功例。しかもヌレイエフの母、サドラーズウェルズの祖母であるスペシャルとその全妹リサデルの4×4×3のクロスを持ち、精緻に計算し尽くされた血統として有名です。

サドラーズウェルズの全弟フェアリーキングを父に持つファルブラヴを配合されて誕生したのがアイムユアーズです。フェアリーキング、サドラーズウェルズの全兄弟クロス2×4、スペシャル、リサデルの全姉妹クロス4×5を基幹軸にノーザンダンサー、ヘイルトゥリーズン、シアトルスルー、近年の大種牡馬クロスの数々を5代以内に散りばめられた万華鏡のような血統構成をアイムユアーズは持つに至ります。

これだけ近親交配を重ねると気性難などリスクも伴いますが、幸いにしてアイムユアーズは健康な馬体と素直な気性に生まれついたようです。スクスク育ってほしいですね。ファルブラヴ産駒はワンカラット、エーシンヴァーゴウなど活躍馬が牝馬、短距離に集中しているイメージが強いのですが、アイムユアーズは距離延びても味がありそうです。初G1をめざしてください。

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