きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 函館スプリントステークス

いよいよ函館競馬も開幕し、本格的な夏競馬の開幕です。そんな週に相応しい和歌が京雅さんから届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

函館スプリントステークス 京雅

期待背に
ただ速度あげ
伸びていき
力よく溜め
出たまま逃げ切る

隠れたメッセージは「きたのちで にげきめる → 北の地で 逃げ決める」です。
期()待背に(
た()だ速度あげ(
伸()びていき(
力()よく溜め(
出()たまま逃げ切る(


<京雅さんからのメッセージ>
函館スプリントステークスは禁止薬物騒動の影響で、7頭立てとなってしまいましたが、出走となった馬はそれぞれのオーナーや関係者の期待を背にスタートを切りました。
勝ったカイザーメランジェは、これまでの好位差しの競馬とは一変して、スタートからハナに立つ競馬。道中スムーズに進めた恩恵から、4コーナーから徐々に速度をあげ、力を溜めこんだ状態で最後の直線へ。人気2頭が猛追しますが、カイザーメランジェの脚色は全く衰えず、逃げ切りを決めました。
アッと驚く逃げ切り劇でしたが、これは江田騎手の作戦だったとのこと。オーナーには「1着か7着かの競馬になるが、逃げさせて欲しい」と話があったそうで、快く快諾したオーナー、馬を最高の状態に仕上げた調教師・厩舎スタッフ、そして思い切った江田騎手の作戦と手腕のすべてが噛み合った勝利でした。江田騎手は2012年3月の日経賞(GII)・ネコパンチ以来の重賞制覇。思い起こせば、ネコパンチもアッと驚く逃げ切り勝利でしたね。


オーナーの友水達也様とカイザーメランジェの出逢いの話を少しお話します。
当初オーナーが牧場に馬を見学いく際に6頭の売却候補馬がいると伺っていたそうですが、実際に足を運ぶと、他の馬は先に売却先が決定しており、残っていたのは後のカイザーメランジェただ一頭。そんな運命的な出逢いをしたオーナーとカイザーメランジェの函館スプリントステークス制覇でした。このあとの大目標は中山で行われるスプリンターズステークス(GI)とのことで、更なるサクセスストーリーを紡いでいってほしいですね。

関係者も、この日は、オーストリアの皇帝(カイザー)のように、勝利の美酒ならぬ、「カイザーメランジェ(ミルクたっぷりのコーヒー)」を満喫されたかもしれませんね。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。本年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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