きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

海の向こうのダービー

5月31日は、坂井瑠星 騎手、岩田望来 騎手、吉村圭司 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

令和最初の日本ダービーは、波乱の旋風が外れ馬券の花びらをターフに舞わせました。ディープインパクトのワンツー決着で、この高配当は驚きでしたが、人気薄を笑い飛ばすような強い競馬で世代の頂点に立ったロジャーバローズはディープインパクトの初年度産駒がクラシック年齢に達してから、わずか9年の間に送り出した5頭目のダービー馬。これも驚くしかありません。さて、今週は世界のダービーデーのクライマックス、競馬発祥の地イギリスで6月第1土曜恒例のエプソムダービーが、翌2日の日曜はフランスのシャンティイを舞台にジョッケクルブ賞(仏ダービー)が開催されます。

イギリスでは2歳時4戦4勝のトゥーダーンホットというドバウィ産駒が日本のサートゥルナーリアにも劣らない絶対的な人気を集めていたのですが、今年に入って脚部不安などで順調さを欠き、トライアルのダンテSを取りこぼしダービーを断念してマイル路線へといったん舵を切りました。そのダンテSで1馬身差ながら着差以上の強さを見せたのがテレキャスターというニューアプローチ産駒。鞍上は日本でもお馴染みになった天才オイシン・マーフィー騎手です。さらにチェスターヴァーズという距離2500mの前哨戦を8馬身ぶっちぎって一躍スターダムに乗ったのがサードラゴネットという名門エイダン・オブライエン厩舎の秘密兵器でした。この彗星のように出現した2頭は、ともにダービー登録がなく、8万5000ポンド≒1200万円と高額の追加登録料を支払っての出走となります。オブライエン厩舎は、この他にもブルームというオーストラリア産駒を始め、出走13頭中7頭を占めるラインナップでダービー獲りに本気モードです。サードラゴネット、ブルームのいずれが勝っても、祖父ガリレオ、それぞれの父に続く父系3代制覇となります。歴史の重みが違うということでしょうか。

フランスは、2100mとエプソムとの差別化を狙った距離設計で、各陣営は距離適性や相手関係、鞍上の都合などを勘案して、2日続きのダービーのいずれかを選びます。昨年はディープインパクト産駒のスタディオブマンが勝ったことでご記憶の方も多いでしょう。しかし今年はイギリスには目もくれず地元クラシックに的を絞ったペルシアンキングというアンドレ・ファーブル厩舎のキングマン産駒が圧倒的な支持を受けています。デビュー戦を2着と取りこぼしましたが、その後は5連勝と負け知らずで、仏2000ギニーに続く二冠奪取は濃厚です。凱旋門賞請負人として著名なファーブル師のことですから、秋までのローテーションがくっきりとイメージされているのでしょうね。名伯楽にとってダービーは、ゴールなのではなく通過点に過ぎないのかもしれません。

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