きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

凱旋門賞の呪縛

4月19日は、吉田豊 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

女王アーモンドアイの凱旋門賞登録見送りは残念でした。長い間、日本のホースマンは凱旋門賞を世界最高のレースと崇め、パリロンシャンの土を踏むことを誇りとし、その勝利を悲願としてきました。ファンとしても気持ちは同じですし、それに異議を申し立てる筋合いは1ミリもありません。しかし考えてみれば、人間の願望からではなく、サラブレッド1頭1頭の個性から世界を見渡せば、素晴らしいレースは星の数ほどもあり、凱旋門賞だけがすべてではありません。こんな当たり前のことに、アーモンドアイ陣営の今回の勇気ある決断が気づかせてくれました。スピードシンボリと野平祐二さんの挑戦から、ちょうど50年。われわれ日本人にのしかかっていた“呪縛”が解けたような気がします。

もちろんガッカリ感は半端ないのですが、新しい夢も芽生えてきています。巷で噂されているような安田記念参戦が実現するようなら、楽しみは凱旋門賞以上かもしれません。このレースには香港のマイル王ビューティージェネレーションも意欲を見せていると聞きます。ご存じのように、先日オーストラリアのクイーンエリザベス2世Sで33連勝と常識破りの記録を樹立しラストランの花道を飾ったウィンクスに並んで125ポンドのレーティング世界一に評価されている馬です。彼自身も目下8連勝中で敵なし。馬なりで回って来るのですから手のつけようがありません。日本の馬場を苦にしなければ、1分31秒台を切って来るくらいのスピードの持ち主です。女王と帝王の対決が実現すれば、オリンピックより一足早く世界中の目が東京に集まります。

さらに加えて、マイルのカテゴリーなら天才かも?と思わせるダノンプレミアムや昨年の覇者モズアスコットまで顔を揃えそうですから、今年のマイルG1では世界のベストレースになる可能性もあります。ダノンプレミアムも2000mの金鯱賞を楽勝しながらG1大阪杯を見送って、より個性が生かせるマイル路線に矛先を変えて来た馬です。この馬といい、アーモンドアイといい、競馬の新しい時代の扉が開かれようとしているのかもしれません。

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