きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

海外遠征の壁

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今年最初の海外遠征となったアメリカのG1ペガサスワールドCターフSは、アエロリットが果敢に挑戦したのですが、残念ながら道悪で厳しい流れに揉まれ込み10頭立ての9着に大敗しました。昨年来の日本調教馬の海外遠征は、ジェニアルがフランスのG3メシドール賞で大殊勲の金星を挙げ、ロンドンタウンが韓国ローカルG1のコリアCを、モーニンが同コリアスプリントを勝っていますが、肝心の国際G1は金メダルに縁がないままでした。

お国変われば競馬も変わるところに、海外遠征の難しさがあるような気がします。アエロリットには気の毒でしたが、泥んこの不良馬場で行われた昨年のケンタッキーダービーは、後に三冠馬に輝くジャスティファイとUAEダービーを18馬身半と記録的な大差でぶっちぎったアイルランドのメンデルスゾーンのスキャットダディ産駒同士の一騎討ちという前評判でしたが、終わってみればジャスティファイが完勝、メンデルスゾーンは最下位という結果でした。世界競馬を牽引するエイダン・オブライエン調教師は「アメリカの馬は、あらゆるシチュエーションやケースを想定して調教を積まれている。ダート競馬の経験が浅い我々には、それが足りなかった」と敗因を述べています。

海外遠征では馬場仕様も異なり、レースの流れも変わります。それを研究して訓練して臨まないと勝利には辿り着かない、とオブライエン師は強調します。その意味ではジェニアルのメシドール賞は、日本にはないマイルの直線競馬という条件を味方につけ武豊騎手の好騎乗もあって、馬の潜在能力を100%引き出して見せました。今年もドバイには80頭もの日本調教馬が予備登録を済ませています。招待状もチラホラ届き始めているようです。ドバイが終われば香港やオーストラリアで大レースが開催され、秋の凱旋門賞まで今年も海外に休みなく挑戦することになるのでしょう。しかし海を渡ることに意義があった時代は終わり、勝つために出かける時代だろうと思います。そろそろ表彰台の真ん中に日の丸を見たいものです。

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