きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

中山を彩った名馬たち【39】タイキシャトル
1997年12月14日 第31回スプリンターズステークス

9月28日は、松田 国英 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
向かうところ敵なし――。
13戦して1着11回、2着1回、3着1回。2着はデビューした年の4戦目に取った不覚。3着は、JRAの要望により引退を引き伸ばした結果、太め残りによる敗戦……。1998年の年度代表馬であり、フランスの年度代表馬顕彰(エルメス賞)を同時に受賞したタイキシャトルの走りには、本当に強い馬だけが持つ、一種独特のオーラに包まれていた。

ゲート試験に落ちること3度。
東京の4歳未勝利(ダート1600m)を快勝したタイキシャトルは、京都競馬の500万下(ダート1200m)、東京の菖蒲ステークス(芝1600m)を連勝。続く4戦目でテンザンストームに不覚(クビ差の2着)を取ったものの、GIIIユニコーンステークス(ダート1600m)、GIIスワンステークス(芝1400m)で勝利を収め、その勢いのまま、GIマイルチャピオンシップ(芝1600m)を制覇。どの馬も成し遂げることが出来なかった秋短距離GI連覇の夢を乗せて、遂に中山にその姿を現した。
――あれが……噂の……。
光を浴び、金色に輝く馬体で、悠然と周回するタイキシャトルの姿に、パドックからため息が漏れる。しかし、中山のスタンドを埋めたファンが本当に驚愕したのはここからだった。
単勝1.9倍の圧倒的な1番人気に推されたタイキシャトルは、8枠16番からのスタートだったにもかかわらず、すっと4番手に付けると、楽な手応えで追走。直線半ばで先頭に立つと、完璧なレース運びでそのままゴール板に飛び込んだ。
――強ぇーッ!
それは、馬券を買った人も、外した人も一様に、思わず笑いを漏らすほどの強さだった。

――JRA史上、最強の短距離馬はどの馬か!?
そんな質問をしたら、おそらく、最も数多くのファンから支持される一頭が、このタイキシャトルだろう。比べることに意味は無い。意味は無いが、たまにはそんな夢を見てみたい……。

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