きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ヒーロー不在?

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競馬はヒーローやヒロインの華やかな立ち居振る舞いあってこそ盛り上がるものですが、今シーズンの欧米戦線はこの存在がイマイチ影の薄いイメージになっています。アメリカは世界の賞金王ガンランナーが引退し、三冠馬ジャスティファイまで故障でリタイアしてしまいました。王者不在の現状です。ヨーロッパは大ヒロイン・エネイブルを故障で欠いてシーズンが始まり、英2000ギニーをディープインパクト産駒のサクソンウォリアーが強い勝ち方をして、ニューヒーロー出現かと話題になったのですが、その後は取りこぼしが続き秋のリベンジに期待ということになってしまいました。英ダービー馬マサーも故障で年内休養、こちらもヒーロー不在が続いています。

古馬戦線は昨年からG1を3連勝で主役に座に登ってきたフランケル産駒のクラックスマンに急ブレーキ。ロイヤルアスコットのプリンスオブウェールズS、初夏の大一番キングジョージを連勝したポエッツワードが代わりに台頭してきたのですが、まだ絶対的な王者の風格には今一歩のようです。今月下旬にはエネイブルのカムバックが期待されていますが、こればかりは実際にゲートインしてみるまで分かりません。そんな中でファンの絶大な信頼を集め、人気が急沸騰しているのが長距離界の新星ストラディヴァリウスでしょうか?

中距離やマイルが重要視される向こうでは、日本と同じようにマラソンレースは地味な存在になっていますが、英国競馬界はこの伝統のカテゴリーの復活に熱心で、昨年グッドウッドCをG1昇格させ、今年は各地の7つの人気レースを一本化して、シリーズの覇者にボーナス賞金100万ポンド≒1億4700万円を贈る「ステイヤーズ・ミリオン」というキャンペーンをスタートさせました。ストラディヴァリウスはシリーズを3連勝中でミリオン獲得に王手をかけています。その中には4000mのロイヤルアスコット名物のG1ゴールドC、3200mのG1グッドウッドC連覇も含まれているのですから、強さも本物でしょう。バイオリンの伝説的名器にちなんだ名馬ストラディヴァリウスが、どんな旋律を奏でてくれるかイギリスファンの楽しみが増えたようです。

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