きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ゆかりの名馬を訪ねて~セラフィックロンプ~

8月18日は、高市圭二 調教師、村山 明 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

今週の「ゆかりの名馬を訪ねて」は、繁殖牝馬として過ごしているセラフィックロンプ号を紹介させていただきます。

<セラフィックロンプ号>
通算成績:37戦5勝
重賞勝鞍:愛知杯(GIII、2008[中京]・2010[九州])

愛知杯で2度の優勝を果たし、3度目の優勝に挑戦するも果たすことができなかったが、競馬ファンに大きな夢を与えてくれたセラフィックロンプ号。惜しまれつつも2011年末に引退し、現在は、生まれ故郷の北海道新冠町の守矢牧場において、繁殖牝馬としてセカンドライフを過ごしています。

今回は、守矢牧場の守矢正嗣様にお話しをお伺いしました。
ご機嫌な様子で駆けまわっている、セラフィックロンプ
―――まずは時間を遡ってセラフィックロンプ号が仔馬の時はどのような性格でしたでしょうか。
守矢氏:幼いころから活発で利口な馬だなとは思っておりました。その分期待をしていた部分もありましたので、重賞を2回も勝ってくれた時は本当に嬉しかったです。

―――競走馬を引退し、繁殖牝馬になってからの生活の様子などをお聞かせください。
守矢氏:競走馬を引退し牧場に戻ってきた時の最初の印象は勘の鋭い馬だなと感じました。

―――勘が鋭いと言いますと?
守矢氏:日中放牧していて、きゅう舎に戻す時などこちらから迎えに行くと、遠くの方からでも嫌がる素ぶりを見せたりします(笑)。気配でわかるのでしょう。
自分の方から、きゅう舎に戻る雰囲気を出している時は、引っ張っていっても素直についてきてくれるのですが、自分のペースでないととても嫌がる性格かもしれません。そしてそういった時に働く勘が鋭いので、更に手を焼きます(笑)。頭が良いってことですけどね。
勘の鋭いセラフィックロンプ。まだ帰りたくない様子です
―――牧場でのほかの馬との様子はどうでしょうか?
守矢氏:時々なのですが、蹴り上げたり威嚇したりすることもあるので、他の馬と離して放牧させたりして様子をみることもあります。

―――好きな食べ物などはあるのでしょうか。
守矢氏:特に好き嫌いはなく、食べることが大好きな馬です。
初夏、青草が出始めると食べすぎて、お腹を壊すことがよくありました。1度獣医から「夕方、きゅう舎に戻ってきた時に与えるエサはやめておきましょう」と言われ、ロンプだけ飼葉をつけないことがありましたが、その時は“楽しみにしていた餌がない!”と言わんばかりに怒ってガンガン壁を蹴りつけてきました(笑)。
結局餌を少量にして与えたら満足していました(笑)。

―――今年は3年ぶりにルーラーシップの仔を出産しましたが仔馬の様子はどうでしょうか?
守矢氏:ロンプと違って非常に人間にもなついて、優しく大人しい仔です。順調に育っていますし、1歳になって馬体も大きくなってきたときに、もっと活発で元気な性格になってくれたらいいなと思いながら、大事に育てています。

―――セラフィックロンプ号の今後についてと、ファンへの一言をお願いします
守矢氏:先ずは無理をさせることなく、来年以降も元気な仔馬を産めるように日々を過ごしてもらいたいです。
今まで産んできた仔達は、なかなか結果が出せずにいます。こればっかりは天に任せるような気持ちですが、母馬と同じように活躍できる元気な仔が産まれるように今後もロンプと歩んでいきたいと思っております。

~セラフィックロンプ号を所有されていた、当協会会員 井上一郎 様からのコメント~
馬主を二十数年、重賞を勝たせてくれた唯一の馬です。しかも愛知杯を2勝して、その時の興奮はいまも忘れられません。サンデー系特有の軽快さに加えて、月日と共にたくましく成長した馬体が、もたらしてくれた成果です。遅咲きではあると思いますが、繁殖馬としてセラフィックロンプの名前が、再び世に問えることを願います。

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