きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ゆかりの名馬を訪ねて~キャトルフィーユ~

ようこそいらっしゃいませ。

中山馬主協会および中山競馬場にゆかりの名馬をご紹介する本企画。
今週の名馬は、中山馬主協会会員の(株)ロードホースクラブ様の所有馬キャトルフィーユをご紹介します。競走馬引退後は生まれ故郷の新ひだか町のケイアイファームに戻り、繁殖牝馬として頑張っています。

<キャトルフィーユ概略>
通算成績:25戦4勝
重賞勝鞍:クイーンステークス(GⅢ、2014)
新ひだか町 ケイアイファームの繁殖牝馬として活躍。現在9歳。


キャトルフィーユが繋養されているケイアイファームのゼネラルマネージャー 中村智幸さんにお話を伺いました。

―――競走馬引退後、生まれ故郷のケイアイファームに戻ってきたキャトルフィーユですが、現在のお話の前に幼少期や競走馬時代の様子について教えて下さい。
中村智幸(以下、中村):正直に申し上げると、あまり記憶にない、というのが本音です(笑)。というのも、キャトルフィーユのお母さんの産駒(キャトルフィーユの姉や弟妹)はレディアルバローザなど活躍馬も出ていますが、どの仔も手がかからなく、キャトルフィーユも同様に大きな怪我もなく丈夫で順調に過ごしてくれました。
育児もベテランの風格を見せているキャトルフィーユ
―――なるほど。順調に育ったことが3歳のクラシック路線から活躍し、古馬になってから重賞も獲得した要因と言えそうですね。引退後、戻って来てからの様子はいかがでしたか?
中村:現役時代にも休養のために牧場に戻ってくることもあったためか、引退後もほとんど性格的な変化はなかったですね。非常に落ち着いています。

――― 一般的に繁殖牝馬は気性が落ち着いている方が良いものですか?
中村:人が手入れをする際や種付時の安全面などを考えると気性が荒いよりは落ち着いている方が良いとは思います。ただ、人に対しては従順なキャトルフィーユも馬の群れの中ではボス気質な一面を見せて、群れのリーダーとして他の馬を束ねているときもあるので、そういった点は興味深いですね。潜在的にそういった面も持ち合わせていたからこそ、重賞を取れたのかな、と思います。

―――初産駒の父はキャトルフィーユと同じ(株)ロードホースクラブ所有のロードカナロアということでケイアイファームとしても思い入れのある配合ですね。初めての出産の様子はいかがでしたか?
中村:種付も順調に受胎してくれて、お産も初とは思えないほど順調でした。初産の場合、なかなか仔馬が出てこなかったり、無事に出産しても授乳時に戸惑う母馬も結構多いですが、そういったこともなく順調に“お母さん”としての役目を遂げてくれました。
カメラが向いて落ち着いた様子
―――昨年はキングカメハメハを種付し、今年、無事に生まれたと聞きました。
中村:はい、 5月10日に無事に出産しました。出産の経験が少ない馬の場合、生まれた仔馬に対して、べったりと付きっきりで育児をする母馬が多いのですが、キャトルフィーユの場合、手助けが必要なときはしっかりと手を貸して、それ以外のときはどちらかというと見守るスタンスが強いですね。

―――育児の仕方をみるとベテランの風格すら感じますね(笑)。
中村:人間の子育てと同じで、やはり一般的には、初めの頃はいろいろ心配になってべったりすることが多く、 何回も育児を経験すると放任しながら子育てをすることが多いです。あとは仔馬の成長に合わせてですかね。例えば、人間でいうと0歳時は親も目を離さず見ていますが、幼稚園児くらいにもなれば親も少し目を離しがちになりますよね。そういう点でもキャトルフィーユは子育て経験が少ないとは思えないベテランの風格ですよね。
広い放牧地、青い空のもと、牧草を頬張るキャトルフィーユ
―――今年の種付は無事に終了されましたか?
中村:はい、今年はロードカナロアを種付し、無事に受胎しました。今年の種付も順調で、現在も状態としては安定していますので、来年の出産が楽しみですね。

―――順調にいけば初産駒と同じ配合の仔が生まれるわけですね。その初産駒は馬名が「ロードラウレア」に決定しました。最後にキャトルフィーユの初産駒ロードラウレアへの期待をお聞かせください。
中村:ラウレアは初仔ということもあり、馬体が少し小ぶりなため、成長を待ちながらの調整を進めてきましたが、 最近はめまぐるしく成長してきて調教量も増やしているので、順調なら秋から冬にかけてデビューできると思います。父も母もクラブ所有馬ということで、やはりクラブ会員様からの期待が大きいのですね。お父さんもお母さんも出資されていた会員様からみると夢の配合ですから。そういった期待に応えていきたいですね。

★繁殖牝馬の一年★
一般的には4月~6月頃に繁殖牝馬への種付が行われ、1ヶ月程度で受胎したか否かが判明する。受胎しなかった繁殖牝馬は再度、種付を行うか、来年まで休養することが多い。
無事に受胎した場合、翌年の1月~6月頃に出産し、出産後の状態を見極めたうえで、その年の種付へとサイクルしていく。種付と出産に加えて、キャトルフィーユのように仔馬の育児も行う。

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