きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2018.5.10

馬主から始まる競馬

ようこそいらっしゃいませ。

競馬発祥の地イギリスのクラシック・2000ギニーをディープインパクト産駒で日本生まれのサクソンウォリアーが、好位馬群から早めに先頭を奪いラストで後続を突き放す堂々たる横綱相撲で完勝しました。ノーザンファームで誕生した馬で、生産者=ノーザンファームと早とちりする方も少なくないようですが、向こうでは異なる認識をされています。繁殖牝馬の繋養牧場が生産者として登録されるのが日本の常識ですが、世界の常識は繁殖牝馬のオーナーが生産者として認識されています。サクソンウォーリアはデリック・スミス氏、マイケル・テーバー氏、ジョン・マグナー夫人のクールモアグループの重鎮が所有馬の母メイビーをノーザンファームに預託して誕生した馬です。このクルーモアの3人がオーナーブリーダー(馬主兼生産者)として遇されます。

中山馬主協会では会報で「馬主から始まる競馬」という海外レポートを連載していました。凱旋門賞、ケンタッキーダービー、ドバイワールドC、ロイヤルアスコットなどを取材する中で、すべてが馬主中心に回っている欧米の競馬のあり方と、JRA主導の日本競馬の温度差を考えた企画でした。この生産者に関する考え方もそうですが、繋養牧場の思想や技術が尊敬され、ファンの夢や願いが大切にされるのは無論ですが、向こうでは馬主ありきがすべての出発点です。それだけに馬主には人間性や品格が問われます。紳士のスポーツと言われる由縁です。日本の競馬が世界に影響力を広げていくには、そのあたりから考え始めないといけないのでしょうね。