きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ワールドCはアメリカ馬の独壇場
シーマクラシックは欧州勢が優位

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ナドアルシバからメイダンに舞台を移して以降の8年間というもの、14年に日本のジェンティルドンナが勝った以外は、すべて欧州調教馬に凱歌が上がっているのがドバイシーマクラシックの傾向です。ブックメーカーオッズでは、フランスの巨匠アンドレ・ファーブル調教師の調教馬で凱旋門賞2着の銀メダルがキラリと光るクロスオブスターズ、イギリスの名門サー・マイケル・スタウト厩舎でG1未勝利ながら昨秋はアイルランドとイギリス双方のチャンピオンSでいずれも2着して秘める素質の高さを強烈にアピールしたポエッツワードと、今年も欧州勢が有力視されています。藤沢和雄厩舎の日本ダービー馬レイデオロは3番人気といったあたりですね。堀宣行厩舎のサトノクラウン、アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎のアイダホがそれを追う形です。期せずしてフランス、イギリス、アイルランド、日本の競馬先進国を代表する伝説的な名調教師たちが覇を競う興味深い一戦になりました。

ドバイワールドCは3年前にAWコースからダートに戻され、それを契機にダート大国アメリカ勢が圧倒的優位に立っています。昨年は1着アロゲート以下、掲示板を独占して圧巻のパフォーマンスを披露しました。三冠馬アメリカンファラオ以来、カリフォルニアクローム、アロゲート、ガンランナーと順当に王位を継承してきましたが、今回は前チャンピオンのガンランナー引退後の跡目を争う王座決定戦の趣き。その先頭に立っているのがウェストコーストという馬でアメリカンファラオ、アロゲートなどを輩出してきた名門ボブ・バファート厩舎の新エースです。ワンパンチ足りない気もするのですが、どんな相手にもひるまない安定感は抜群で、一皮むけたレースを見せて欲しいとファンの期待が集まっています。

強敵はBCターフの覇者ながら、敢えてダートのこの一番にチャレンジするタリスマニック。厩舎アンドレ・ファーブル、馬主ゴドルフィンはシーマクラシックのクロスオブスターとまったく同じです。究極の使い分けということになります。ゴドルフィンはクリストフ・スミヨンを乗せてサンダースノーもゲートインさせます。昨年のUAEダービー馬でメイダンのダートを自分の庭のようにしています。先日の高松宮記念をファインニードルが制覇するなど世界の大レースを勝ちまくっているゴドルフィンですが、母国のワールドCは特別に重い意味を持っているようです。プライドを賭けた大一番への意気込みを無視するわけにはいきません。

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