きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

中山を彩った名馬たち【11】キタサンブラック
2015年3月22日 第64回スプリングステークス

3月16日は、田中 健 騎手、栗田 徹 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
挙げた白星は、GI7つを含む12勝。競馬ファンでなくともその名を知っているというキタサンブラックは、稀代の名馬と呼んでもいいのだろう。オーナーである北島三郎氏、ジョッキーの武豊とともに、三拍子揃った名優たちの熱いドラマは、ラストランとなった昨年の有馬記念でその幕を閉じるまでファンの心を捉えて放さなかった。
しかし、数多の名馬たちと比べ、彼はデビューから注目されていたわけではない。
亡くなった後藤浩輝騎手とコンビを組んだ新馬戦は、16頭立ての3番人気。続く2戦目、北村宏司騎手と挑んだ500万下は、14頭立ての9番人気。注目を集めたのは、いずれもディープインパクト産駒の馬たちであった。
理由は――。
「俺がいくら大丈夫だって言っても、みんな、キタサンブラックは、短距離馬だったサクラバクシンオーの血が入っているから、長いところはだめだって言うんだよ」
オーナーの北島三郎氏が言うように、血統による評価が大きい。そして、中山初見参となったこのスプリングステークスでも、12頭立ての5番人気。ファンの支持を集めたのは、共同通信杯を2戦2勝で制したリアルスティール。朝日杯FSの勝ち馬、ダノンプラチナ。京成杯を制したベルーフという良血馬たちであった。

この日のキタサンブラックの馬体重は、前走と同じく504kg。離れた2番手でレースを進めると、中山のコーナーを器用にこなし、直線では自らスッと動いて先頭に。最後は、後続を抑えきって、先頭でゴール板を駆け抜け、皐月賞への切符をもぎ取っている。
キタサンブラックが本当に強くなるのは、真の王者となるのは、これから半年あまり後のことになるが、中山を舞台にしたこのスプリングステークスで、その片鱗を見せつけてくれた……と言ってもいいだろう。
キタサンブラックが中山で挙げた勝利数は、ラストランの有馬記念を含めて3つ。しかし、なぜか、キタサンブラックには中山の舞台がよく似合っていた。

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