きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2018.1.19

中山を彩った名馬たち【03】ロードカナロア
2012年9月30日 第46回スプリンターズステークス

――安田(隆行)先生も悩ましいところだね。
あちこちで、こんな言葉が囁かれた、第46回スプリンターズステークス……。それもそのはず。このレースで1番人気に推されたのは、芦毛の5歳牝馬、前年の覇者である安田隆行厩舎のカレンチャン。続く2番人気は、虎視眈々と世代交代を狙う4歳牡馬。こちらもまた、安田隆行厩舎のロードカナロアだった。
2頭の初対決は、同年3月25日に行われたGI高松宮記念。このときは、道中2番手を進んだ2番人気のカレンチャンが、1番人気のロードカナロアをクビ差抑えて優勝。続くGIIセントウルステークスは、ロードカナロアが2着。カレンチャンが4着。共に、6番人気、武豊騎手騎乗のエピセアロームに後れをとっていた。

――真のスプリンターはどっちか!?
決戦の舞台は、中山競馬場、芝1200m。
同じ馬運車で中山に乗り込んできた2頭……カレンチャンは7枠14番。ロードカナロアは8枠16番。
「前走を使って馬にスイッチが入ってきた。今度はこの馬らしいレースをお見せ出来ると思います」
最終追い切り後の記者会見で、安田翔伍調教助手がカレンチャンの状態を絶賛すれば、ロードカナロアについては、安田隆行調教師が、
「100%の出来と言っていいと思います」
とコメント。人気も、カレンチャンが2.5倍の1番人気。ロードカナロアが4.4倍の2番人気と、2頭が分け合うカタチとなった。

勝負は最後の直線――。
先頭に立ったカレンチャンに、外からロードカナロアが襲い掛かった。
渾身の鞭が唸りを上げ、意地と意地が激突する。
ライバルの息遣いをその身体で感じながらの激しい攻防は、最後に3/4馬身競り勝ったロードカナロアに凱歌が上がった。
「強い馬が強いレースをして勝てたということです。ここで勝つことが僕の使命だと思っていました」
ロードカナロアを託され、レコード勝ちでそれに応えた岩田康誠騎手の顔には、興奮と安堵感が漂っていた。