きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

香港競馬の底力

1月31日は、高橋 祥泰 調教師、根本 康広 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

香港競馬のレース体系は、ゴールデンウィークと歳末に行われる国際G1シリーズの二つの山場を中心に設定されています。一流馬の多くは高額賞金と名誉の両手に花を目指して、そこを目標に調教を積まれます。大一番であっても競馬に波乱は付きものですが、実績馬が仕上がり途上の前哨戦ともなると下克上のドラマが生まれる確率はグンと高くなります。こうなると一攫千金を夢見て馬券の売れ行きも良くなるのは人情でしょう。ファンはワクワクドキドキ、主催者も大喜びできるハッピーな構図ができあがります。世界に誇れる香港競馬の盛り上がりは、案外この辺りにも一因があるのかもしれません。

香港競馬では、このところヨーロッパにも名が響くほど一世を風靡したエイブルフレンドなど強豪が引退し、世代交代の時期に差し掛かっているというお話をしてきました。その新風潮は昨年暮れの国際競走シリーズでも顕著に現れて、スプリントでミスタースタニング、マイルでビューティージェネレーション、中距離のカップではタイムワープといずれも新星がG1初勝利を飾り、新王者争いに名乗りを挙げました。年が明けてもこの流れは止まらず、むしろ急速さを増しています。先週日曜にシャティン競馬場で行われたG1センテナリースプリントCは超新星ミスタースタニングをディービーピンが破って、新王者の独走にストップをかけています。

マイルのG1スチュワーズCでは破天荒な下克上劇が演じられました。このレースには今や香港を代表する古豪ワーザーを筆頭に先出のビューティージェネレーションやタイムワープも含めてG1馬が6頭も出走していたのですが、直線で馬群を割ったのは上がり馬シーズンズブルームでした。昨年の4歳三冠の第1戦クラシックマイルで、後の三冠馬ラッパードラゴンの2着に奮闘していた馬です。明けて5歳、いよいよ充実期を迎えたのでしょうか。今は亡きラッパードラゴンの強さが改めて浮き彫りにされた印象もあります。エイブルフレンドの無念の引退やラッパードラゴンの非業の死をも乗り越えて、次々とスターホース候補を送り出す香港競馬の底力は大したものですね。ゴールデンウィークのG1シリーズには日本馬も多数遠征するのでしょうが、簡単には勝たせてもらえないのかも?

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