きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

クールモア軍団の東征

1月17日は、南井 克巳 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

ご承知のようにディープインパクトの種付け料は、去年までの3000万円から今年は4000万円へと値上げされ、世界有数の高額フィーを誇っています。日本は言うに及ばず、昨年だけでもドバイ、オーストラリア、イギリスと世界の主要競馬国でG1ホースを輩出しているのですから盛名はは高まるばかりです。これを超えるのは、世界広しと言えどもプライヴェートで価格非公表のガリレオ唯一頭でしょう。その世界的名血ガリレオ選りすぐりの娘たちからも配合オファーが絶えないというのが、日本が生んだ種牡馬ディープインパクトの近況です。

大きなモチベーションとなったのは、昨年サクソンウォリアーというディープ産駒が3戦3勝でG1レーシングポストトロフィーを勝ち、今年のダービー最有力候補にのし上がったことでした。母メイビーはデビュー5連勝でG1モイグレアスタッドSを制圧したガリレオ牝馬で、今回来日した牝馬たちも単にガリレオの娘という話で終わらず、タダモノではない名牝ばかりです。ノーザンファームに滞在中の3頭は、一の矢が一昨年のヨーロッパ年度代表馬に輝いたマインディグ、7ハロンから12ハロンまで距離や競馬場を問わず牡馬相手も含めてG1を勝ちまくったオールラウンドプレイヤーです。二の矢のウィンターも英愛1000ギニー、ロイヤルアスコットのコロネーションSなどマイルのG1を4連勝したスピードヒロイン。三の矢プロミストゥビートゥルーはG1は2着止まりでもメイビーの全妹と折り紙つきの良血馬です。

この世界に冠たるクールモア軍団の大東征の背景には、大雑把に言ってクールモアが意図的に進めてきたノーザンダンサーの血を凝縮させる伝統的配合手法の幅が、徐々に狭まっていることにありそうです。メイビーを含めて今回の牝馬たちはすべてデインヒル系を母父に抱えています。この配合は怪物フランケルを筆頭にガリレオ成功の黄金法則になっていますが、さらにその先の発展をディープインパクト実験に託した?東アジアの小島で独自の発展を遂げたサンデーサイレンス系は、ヨーロッパにとっては異系の血脈です。この東西大融合を図ることで狭くなった血統の隘路を切り開こうという狙いなのでしょう。この実験はサンデーサイレンスの配合の幅が狭くなりつつある日本馬産界にとっても意味は小さくなさそうです。

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