きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2018.1.12

中山を彩った名馬たち【02】ナリタブライアン
1994年4月17日 第54回 皐月賞

1月12日は、幸 英明 騎手の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
――ほぉ、案外、ついたね。
オッズを見た人たちが意外そうな顔でつぶやいたナリタブライアンの単勝は、ナント、1・6倍。
2走前の共同通信杯、前走のスプリングステークスは、ともに1・2倍。それと比較すると、確かに、ついたほうだが、それにしても……初対戦となる弥生賞組がいる中で、この数字は驚異的だ。
――競馬に絶対はない。
だれもがそれを知っている。
でも、しかし――もしかしたら、ひょっとしたら、競馬にも絶対はあるかもしれない……。そう思わせてくれたのが、クラシック三冠ロードで無敵の強さを誇ったナリタブライアンだった。

漆黒の馬体に、純白のシャドーロール。
不況の波に襲われ、だれもが溺れまいと必死に歯を食いしばっていた時代……1993年……孤独と無頼を背負った彼は、クラシック第1弾となる中山のターフに舞い降りた。
「中途半端に抑えて負けるくらいなら、行く」
ペースを握ったのは、強い意志と覚悟を持ったサクラエイコウオーと小島太騎手だ。
12.2-11.1-11.5-12.2-11.8
速いラップを刻んでいく。
追いかける馬たちが苦しそうにもがく中、ただ一頭、馬なりで追走するブライアン……。勝負はこのとき、すでに決していた。
鞍上の南井克巳騎手が軽く気合を入れると、ケタ違いのスピードで後続を置き去りにし、レースレコードどころか、中山のコースレコードを塗り替えるタイム、1分59秒0でゴール板を駆け抜けた。
「まともに戦っても勝てる相手じゃない」と口を尖らせたのは、サクラエイコウオーの境勝太郎調教師。「まるで大人と子ども……」と評したのは、野平祐二師。これまで、数えきれないほどたくさんの名馬に跨ってきた武豊騎手は、「2着でしょうがないと思ったのは、ブライアンが3歳の時だけですね……」と、呆れ顔でつぶやいた。